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Welt wunder

MMORPG「マスターオブエピック」の2次創作&オリジナル小説置き場兼MoE日記。誰が得するかって俺得。

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2008

07/24

Thu.

不定期連続小説「 MoE / AtW」 

第8話「竜巻旋風少女(前編)」

「ねぇ」


いつものビスク港。


「ん?」


「今日は弾きに行かないの?」


「しばらく行かない。というか昨日も聞いたな」


「また聴きたいんだけど」


「オレが弾きたくなったらな」


「えー」


最早見慣れた光景になりかけている、エリノアと煉の姿。


「いじわる」


「……」


「まるで恋人みたいなやり取りね」


そこに割ってはいるのは、これまた見慣れた顔ぶれである。


「ブリュンヒルド、そういう誤解は勘弁してくれ」


「そうよ、煉に私みたいな美少女が似合うわけないじゃない」


どっちもどっちだ。


と、ブリュンヒルドは呟きたくなった。


「んで、今日は授業はないのか?」


「内容が神秘魔法とか召喚魔法だから、私には関係ないの」


いやな顔を見なくて清々する、というような表情だった。


「確か専攻は強化と回復だったわね」


「えぇ」


「ちょっと、訊きたい事があるんだけど、いい?」


唐突に切り出したのは、エリノア。


「私で解ることなら……」


「私、回復魔法を覚えてるんだけど、なんか効果が薄い気がするのよねぇ。どうしてか解る?」


「考えられる理由としては、魔力が少ないか、スキルの覚え込みが足らないか……、だけど。ちょっと私に使ってみてくれる?」


「んじゃあマイナーヒーリングっと」


そういうと、触媒を取り出しブリュンヒルドに呪文を唱え始める。


「……」


一瞬、ブリュンヒルドの体が光った。発動の証だろう。


「―どう?」


「多分、魔力が少ないと思うわ。魔法そのものは問題ないから」


「魔力かぁ、何かあげようとすると喉が渇くのよ」


思い出して、喉をさする。


別に炎天下の中に居るわけでもないのに、どうして喉が渇きやすくなるのか、エリノアにはさっぱりだった。


「あ、それ解る。直ぐお茶がなくなっちゃうから不便よね」


「ブリュンヒルドも?」


「私だけじゃないわ、魔力が高い人は大概そうだって、先生から聞いたの」


「興味深い話だ」


と、黙っていた煉が横槍。


「そういえば、この前も魔法のことに関して随分知りたそうだったけど……」


「まぁ、魔法使いといえばオレもそうだからな」


「何が使えるの?」


「お前らで言う、破壊回復強化神秘召喚……さすがに死は無理だな。ジャンルがずれ過ぎてる」


己の使える魔法を指でカウントしつつ、そう答えた。


「やっぱり賢者みたいね」


「その割にはものすごく運動神経が……」


「だから『お前らで言う』って言っただろう。詳しくは企業秘密だ。少なくとも魔法そのものの概念と体系が違いすぎる」


「けち……」


唇を尖らせ、エリノアは文句たらたら。


「私も興味あるのに」


ブリュンヒルドも残念そうに。


「知ったところでどうにもならんだろ」


煉は憮然と、呟くだけだった。





その後は何となしの雑談をして、しばしの時間を過ごし―


「あ、そろそろお昼の時間ね」


「……だな」


「買いに行こうかしら」


3人でベンチから腰を上げた其の時。


「ちょっと待つの」


「あ?」


声がしたほうに振り返れば。


「あ、この前の」


エリノアが嬉しそうに手を振った。


「……」


「そこの男、用があるから私についてくるの」


単刀直入に、以前ずーっと煉の顔を眺めていたあのエルモニーの少女が言った。


「断る。せめて飯を食わせてくれ……」


やりたいことがあるのに邪魔が入るのは誰でも嫌なもの、煉も例外なく然り。


「じゃあ、待つの」


ぐぅ。


「ん?」


いつもどおり買出しに出ようとしたら、誰かの腹の虫の音。


「エリノア……」


「私じゃないわ、今回は……」


若干顔を紅潮させつつ、本人はそう否定を返す。


先日、街中で盛大に腹の虫を鳴らし、皆して赤っ恥を掻いたから疑われるのも仕方ないが。


「ブリュンヒルドなわけがないし」


「煉じゃないの?」


食って掛かるように訊き返すが、


「オレが腹を鳴らした所を聞いたことがあるか?大体距離が離れすぎだ」


そういわれて納得し、


「そういえば……って、じゃあ何で私に聞いたのよ!」


こんなツッコミがくるのも当たり前なわけで。


「本人が一番わかってるからだろ」


「……」


解ってらっしゃる。


「となると、残りはお前か」


「失態なの」


平然と言いはするが、恥ずかしそうではある。


「なに、問題はない。昼飯がまだなら一緒に買いに行こう」


「―無いの」


「ん?」


「お金が、無いの」


まるで露店への恨みつらみを纏めたかのような言葉である。


だが、隣人や友人ならともかく、タダで物を譲ってくれる商売人もそうはいない。


生活するには金と時間を回さなきゃならないのだから。


「買ってやるさ」


「いいの?」


「食事って言葉が出てからそんな顔をされたんじゃ、食べるのを見せ付けるのも気分が悪い」


「いいでしょ?」


エリノアが少女の手をとり、歩き出した。


少女の目は、果てしなくきょとんとしていた―





「はむはむ……」


エリノアまでとは行かないものの、その食べる量はすさまじきかな。


カレーも麻婆豆腐も、飲み物ですが何かといわんばかりにかき込んでいく。


「エリノアより不思議な体質だな」


もうお約束って訳で。


「まったく、一日分の狩の儲けがパーだ」


「申し訳ないの、三大欲求の一つに完全に屈服させられたの」


人の金で食う飯ほど旨い物は無い。とはよく言ったもの。


幸せそうに食べるものだから、煉も文句は言うが嫌ではなさそうだった。


「よく食べるわねぇ」


二つめのメンチカツをフォークに突き刺し、口に運ぶ前にエリノアが呟いた。


「「……」」


お前が言うな。


「え?何か言った?」


しまった。


「いや」


「いえ」


「コグニートのおねーさんも良く食べてるの。育ち盛りなの」


コップをシートの上において、少女が言った。


「そうそう、いろんな意味で育ち盛りなのよ」


少なくとも、そのうち一つにこれから成長する兆しが見えないのは、舞台裏からの秘密。


「そういえば……貴女名前は?」


「アレット。なの」


ほっぺたにケチャップをつけた少女はそう名乗った。


「アレットちゃん……可愛い名前ね」


「……ママが付けてくれたの」


ちょっとだけ寂しそうに、アレットは俯きつつ言った。


「まったく、見てるだけで腹が一杯になりそうだ。アレット、持って帰るか?」


「くれるならありがたく貰うの。ありがとうなの」


「素直で宜しい」


「もぐもぐ」





「食事も終わったし、来るの」


「少しくらいリラックスさせてくれ」


そう言うと、煉は懐から紙のパックを取り出した。


「何それ?」


エリノアも見たことが無いそれから、細い紙筒を一本取り出し―


その先端に火をつけた。


煙がもくもくと立ち上がる。


「タバコ……?感心しないわね」


「煙草っつうか、まぁ、薬だな。魔力回復促進剤とでも言うか」


紙筒を口から離し、ふぅ、と息を吐き出す。


ブリュンヒルドの知る煙草は決していい臭いではなかったが、煉が嗜んでいる煙草からは少し甘く芳しい匂いがした。


「けほっけほ」


「あぁ、悪い」


むせたエリノアに侘びを入れ、煉は風下へ移動した。


「煙草かぁ……」


「ブリュン、煙草って何?」


さすが非常識。


「簡単に言うなら大人の嗜好品。気分が落ち着くらしいわ、体に悪いらしいから私は吸おうとは思わないけど」


「レーンー?」


「これは寧ろ体に良い。というか、無理やり体を復調させる代物。お前らが吸ったところで効果は無いがな」


「あの匂い、嫌いじゃないの」


「……」


口から離して、燃え尽きた灰をどこからか取り出した器に落とし、再び紙筒を口へ。


それを数回繰り返し。


「ふぅ」


最後に半分以下の長さになった紙筒そのものを、器に押し付けて消火完了。


「待たせたな。さぁ、行こうか」


「随分待ったの。さっさと行くの」


海を眺めるのにも飽きていたのか、待っていたとばかりにアレットは立ち上がった。


「エリノア、ブリュンヒルド、支度は出来てるな?」


「行けるわ」


「私もOK」


「……」


二人が付いてくるとわかった瞬間にアレットは不満そうに頬を膨らませた。


「あら、付いていっちゃ駄目かしら」


出る気満々だったエリノアはきょとんとした。


「そういうわけじゃないの。でもちょっと生々しい話をしにいくだけなの」


どうやら堂々と口に出すには憚られるらしい。


「何事も見聞と経験は大事よ」


「ママから聞く分には『普通は大事にするもの』らしいの。あたしには良く分からないの」


再び俯くアレット。心なしか頬が紅潮しているようにも見える。


「まぁ、さっさと済ませに行こうぜ」


「―ついてくるの」





―この日よりしばしの間、流れるような日が続くことを、暢気な冒険者達はまだ知らない。





「アニー!どこにいるのー?」


「なぁに?」


「今日はお姉ちゃんがお客さんを連れてくるから、おめかしするよー」


「―うん!でもその前にちょっと出掛けてくるー!」

「あ、こら! ……まったく」





「……」


「どうかした?」


「何か背中に悪寒が……」


「気のせいなの」





To be continued...




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category: MoE小説<現行作品>

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