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Welt wunder

MMORPG「マスターオブエピック」の2次創作&オリジナル小説置き場兼MoE日記。誰が得するかって俺得。

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2008

06/18

Wed.

不定期連続小説「MoE / AtW」 

第6話「もにこは黙っていても様になる」

「うー」

波が打ち寄せるビスク港に、煉の唸り声が混ざる。

耳に心地いいそれを不快なレベルにまで引き下げるそれは、

「……」

当然の如くエリノアも不快にさせていた。

「あーぅー……」

ぽかぽか陽気なのに、煉のせいで暑苦しくなってきた。彼の口にあっつあつの肉まんでも詰め込んでやりたいところである。

「どうしたものかしら」

煉が居る以上、下手に此処から動くことも出来ない。

いくら男とは言え、今の彼の状態は見るからに体調が悪そうだ、エリノアやブリュンヒルドが目にした強さにも陰りがあるだろう。

「……」

一昨日、煉とブリュンヒルドがグリフォンを狩って来たその翌日、つまり昨日から彼の体調の異変は続いていた。

唸り声を上げたのもつい今朝のことで、それまでは泥のように眠っていた。

病気などに学が無く、エリノアは煉の様子を見ているしかなかった。

「熱は……やっぱりないわね」

最低限額に手を当て自分の体温と比べるくらい。

「あーもう、知り合いに魔医師がいれば話は違うのに!」

地団太踏んでも仕方が無い。

今のエリノアに出来るのは、彼が元気になるように祈るだけだ。

「小腹が空いたわね」

気がつけば己もしばらくの間食事を摂っていなかった事に気がついた。

珍しい事だ。

「心配だけど……」

自分のことより、自由の利かない他人のこと。

しかし、このままでは自分が餓死してしまうのが先かもしれなかった。

「すぐ戻るから……いいよね?」

エリノアはビスク西へ急ぎ足に向かうのだった。



そして、

「あ、ブリュンヒルドさん」

そういう時にこそ、出会いがあるから困る。

「こんにちは」

突然声を掛けられたことに驚いたのか、ブリュンヒルドは他人行儀で、多少まごついていた。

「お買い物ですか?」

「えぇ、武器と食料と悟りの石を調達しにね」

「何のスキルですか?私も少し露店見て回ってるので見かけてるかもしれませんし」

「えーと、回復魔法と、棍棒ね。後出来れば精神力の悟りも欲しいところかしら」

「棍棒の悟りなら、銀行前のモニオ君が二つ並べてましたよ。あと、回復魔法の悟りもどこかで見ました」

記憶を探りつつ、情報を差し出す。

結構曖昧だったりするのだが。

まぁ、この広い街中に見るだけで50以上の露店が並び、その実半分以上が悟りの石や賢者の石のドロップだというのだから少し笑えない。

狩り」で生計を立てるエリノアとしては、露店で楽して儲けようとなど考えることは出来なかった。

そして、その露店側にも様々な思惑があるのを、彼女自身が知る由も無かった。

「ありがとう、それと……」

「?」

「敬語は要らないわ。恐らく年下の私が言うにはちょっとおかしいけど」

苦笑と共に、申し出る。お互いの立場は分からないものの、大抵の状況において年下から言うには少しばかり滑稽な申し出だった。

「あら?それなら私も気が楽でいいけど。敬語って使い慣れないのよね」

まるで肩が凝ったかのように、肩を回して一言。今は別に戦闘用の金属性プロテクターをつけているわけでもないのに、やたら肩が重く感じたのだ。

余談だが、エリノアは貧乳である。よって、これも影響は無い。

「……」

ん?

「………………」

えーと、なんでこっちを向いてるんだろうね。あのこぐねぇさんは。

見えてないし聞こえてないはずなんだけど。

「……エリノアさん?」

ほら、読んでるからさっさと向き直れ。

「―ごめんね、なんか変な声が聞こえたから」

おかしいな、マイクは切ってあるはず……うげ、しまったきり忘れた、うっk―

「聞こえなくなった……」

よし、普通の地の文に戻ろう。

「私には何も聞こえなかったけど?」

「むしろ聞こえてないほうが嬉しいわ」

「そう……。ならいいんだけど」

エリノアが無表情なことに思い当たる節があるのか、ブリュンヒルドはそれ以上何も言わなかった。

「そうだ、昼食は済ませた?」

「まだ、だけど?っていうか、昼食にはまだ早すぎるんじゃない?」

太陽の位置から計算して、ダイアロス時間11時前。昼食と呼ぶには早い。

「ほぼ一日何も食べて無くて御腹ペコペコなの」

御腹を擦れば、機嫌の悪い虫が鳴り響いた。

「まぁ、ご一緒させてもらうわ」

そこはかとなく空気を読む辺り、ブリュンヒルドはエリノアより大人なのかもしれない。

「あ、そうそう。貴方が敬語を使わないでというなら、貴方も私をさん付けで呼ぶのは止して頂戴」

「そうさせてもらうわ、エリノア」

中央に続く通路の前で待ち合わせることにして、とりあえず二人は別々の目的のために歩き始めた。



「いっけない、随分時間が掛かっちゃった……」

お昼の混み時に向けて、シエルレランが出来立ての料理を並べている最中に出くわしてしまったせいか、はたまたエリノアがその匂い一つ一つに惹かれてあちこち回った上に悩みに悩んだせいか。具体的な理由なんていうまでも無いだろう。

紙袋2つ分の出来た手料理のオリジナルフルコースを抱えて、エリノアは待ち合わせの場所へ。

「お待たせー」

「……」

壁に背をむけている彼女はどこか警戒しているようにも見えた。

「ブリュンヒルド?」

「あぁ、ごめんなさい」

一声かけると、忽ちいつもの表情へ。

「どうかした?」

「いえ、何でもないわ。行きましょう」

「そうね」

頷いて二人で歩き出す。

「凄い量ね……、それ全部一人で食べるの?」

エリノアが抱える品に対して、ブリュンヒルドはあくまで一般的なそれ。まぁ、発育的にはエリノアのそれと大して変わらない辺り、エリノアの消費した料理のカロリーはどこへ消えているのやら。

「何だかものすごく失礼な発言を聞いた気がするんだけど」

「気のせいじゃない?」

よし、今度は成功。


ともあれ、ビスク港へ戻ってきた。

そこに先ほどと違う点が一つ。

「……」

「あれ?」

眠っている煉をひたすら無表情に眺め続けるエルモニーの少女が居ることだった。

「あー……物盗りって訳じゃなさそうね」

以前の自分を思い出して、エリノアは状況を判断する。

「アレだけ無表情で眺められ続けたら、起きたときにびっくりしそうね」

ブリュンヒルドの意見も尤も。

「ねぇ、何してるの?」

近寄りつつ、訊ねる。

「……」

エルモニーの少女は、やはり無表情なまま顔を上げ、

「さっきから起きないの」

そう呟いた。

「揺すっても叩いても、ピクリともしないの。心臓が動いてるだけ不思議なの」

「昨日からずっとそうなのよ」

呆れ気味に、煉の寝顔を一瞥し、少女の疑問に答える。

「だから何時起きるか待ってみるの」

「何時起きるかなぁ……」

「謝る事と、お礼を言わなきゃいけないの」

何だか、話が飛躍した。

少女が告げたのは、目的。

「え?」

「一昨日、この人から黙ってミートサンドもらっちゃったの。そうしたら、おかーさんに凄く怒られたの。だから謝ろうと思って探してたら、グリフォンの大将さんが居た所にこの人の匂いが残ってたの」

すんすん、とエリノア達には分からない『匂い』とやらを確認して、何度も頷く少女。

「やっぱり、この人なの。クッキーの匂い」

「そうなの……」

「なの」

こくんこくん。

しばし、シュールな雰囲気。

「……飽きたの」

「早いのね」

一体、何分彼の顔を見ていたのか分からないが、まぁ、よほどの理由でもない限り人の寝顔なんてものは10分も見てれば飽きるものだ。

「今日は出直すの。また、会いにに来るの」

そう言うと、少女は東エリアに繋がる通路の中央に立って、

「さようなら、なの」

「あ、うん。さようなr」

ぶわっ。

一瞬、彼女を風が包んだかと思うと、

その数瞬の後には、少女の姿は彼方へ消えていた。

「今のは、自然調和のツイスターランかしら。風が起きてなかったのに、簡単に風を呼ぶなんて……凄いわね」

ブリュンヒルドがあっけに摂られつつも、言った。こういう説明口調というのは、ありがt……げふんげふん。

「……まぁ、お昼にしない?折角の出来たて料理が冷めちゃう」

そういいつつ、紙袋からベーコンバーガーを取り出す辺り、エリノアの空腹は限界を迎えているらしい。

「そうしましょうか」

ブリュンヒルドがベジタブルサンド取り出したのと、エリノアがベーコンバーガーに齧り付いたのはほぼ同時だった。



「港を眺め、紅茶を愉しみながらの昼食ってのも悪くないわね」

突然、ブリュンヒルドがそんなことを言った。

「平和よねぇ……」

対して、エリノアはそんな風に返す。

「ほんと、歴史なんて関係ないくらい、素敵で平和に思えるのが、とても不思議」

「私は流れ人だから良く分からないけど、戦乱があった頃に比べると本当の意味で平和なのかしら」

「何時ごろ流れてきたの?」

ブリュンヒルドが食い付を見せ、詮索をかけた。

「そろそろ一年になる……かな。最初は採掘とか釣りだとかで生計を立ててたけど、今はすっかり冒険者が板についてるわ」

採掘をしていた頃に比べて少し細くしなやかになった腕を見つめ、エリノアは懐かしげに答えた。

「ブリュンヒルドは、現地の人?」

「えぇ、詳しくは……ちょっと言えないけど。ごめんなさい」

さっぱりと事情を話したエリノアに対して、ブリュンヒルドの過去には負い目でもあるのか。

「気にしないで。過去があるのは羨ましいけど、重要なのは今と未来でしょ?」

「そうね、だから今此処にこうしているんだけど」

表情から翳りが消え、代わりに微笑が表された。

「煉と出会ってからが充実して、とても楽しいの。過去がどういう形だったのか分からないけど、今此処でこうやって生活してるのも、悪くないわね」

「煉が、音楽?イクシオンマーチをテナーで歌うのかしら」

「それが全然違うのよ、旅の吟遊詩人みたいに楽器を持って―」

二人の会話は―



「……んがご」

その日の夕暮れ、煉が起きるまで続いた。

「お前ら、何やってんだ?」

今まで寝てたなどとは思えないような、あっけらかんとした表情で、乙女二人の会話に割り込む辺り、男としての品格に欠けるのがなんとも彼らしい。

「あ、やっと起きた……」

「やっと、て……。どのくらい寝てた?」

「ほぼ丸二日くらい?」

「……そうか」

思い当たる節でもあるのか、煉は冷静に頷くだけだった。

「ところで、腹が減ったからなんか買ってくる」

「あ、晩御飯のうどんならあるけど、食べる?手打ちで出来たてよ」

エリノアが髪のカップに盛られたきつねうどんを差し出した。

「珍しいな、食い意地張ってるお前が、食べ物を譲るだなんて」

煉はきょとんとした眼差しで、エリノアを見つめつつ、言った。

「それだけ心配してたってことでしょう?」

それに被せるかのように、ブリュンヒルドがからかう様な笑みを浮かべつつ、言った。

「起きたばかりで歩かせるのは、辛いでしょ?私はまた買えば済む話よ、少し多めに買っちゃったしね。今日は運動もしてなかったからダイエットだと思えば、丁度いいわ」

「残りそれだけの寮を全部食いきった上で、饂飩いっぱい譲った所でダイエットとは言えない気がするぜ」

「でしょうね……」

「あ、食べ物で思い出した」

饂飩を食べだした煉を見て、エリノアがはっと顔を上げる。

「煉、一昨日ミートサンドを盗まれたりしなかった?」

「あぁ、元々ブリュンヒルドと会うきっかけになったのはそれだな。まったくメインディッシュが無い食事は味気無いッたらないよな」

忌々しげに眼を閉じ、自分の愚かさと、犯人の姿を同時に思い浮かべた。

「その子、昼間に貴方に会いにきたのよ」

「どうして起こしてくれなかったんだ……」

煉はがっくしと肩を落とし、そしてエリノアに問いかけた。

「「どうしても起きなかったのよ」」

返答、というかツッコミは二人から。まぁ、事実ではある。

「正直、すまんかった」

「その子、謝りたかったみたいよ。お礼も言いたいとか言ってたけど、何のことかしら」

一つの疑問は晴れたとは言え、もう一つは謎のまま。

「……思うところはあるが、そいつだとは言い切れないから困るな、実際に会えば分かるんだが。今度またレクスールヒルズに出るか」

丁度良く御汁のしみこんだ油揚げを齧って、飲み込んでから一つ行動予定を立ててみる。

「それもいいかもね、あの子レクスールヒルズ周辺を動いてるみたいだから」

「それにしても……どこかで見たことのある衣装だったような気がするのよね。いまいち思い出せないわ」

フォークの尻尾で額を突くが、答えは出てこなかった。

「まぁ、一緒に出て、そいつに会えば分かるだろ」

「そうね」

最善とされる答えを言われて、エリノアは深く頷くのだった。



「……」

そして、時は月が頂に至る頃。

月の光が、ギターを奏でる煉の指を僅かに照らす。

素朴ながらも優雅で流麗な音が、数日振りにビスク港に流れていた。

「いかん、二日弾かないだけで指が硬くなる」

眉を顰めて納得していない様子の煉に対して。

「初めて聴いたけど、いい音を奏でるのね」

ブリュンヒルドは音楽に陶酔し切った表情で、

「確かにいつもより音色の流れが硬い……かも?」

エリノアはなんとなく理解したような表情でそれぞれ感想を告げた。

「それにしても、ピアノが弾きたいものだ」

どこか憂鬱そうに、煉は呟いた。

「此処じゃ弾けないの?」

「弾けないことも無いが、もっと音の響く場所で弾き、聴かせてこそ、だからな」

自分が奏でたそれと、他人が感じるそれは多少違えど何かしらの勘定を与えるには充分すぎる。

環境も大きく影響しており、より良い環境であれば、それはより良い影響を与えることに他ならない。

「是非聴いて見たいわ」

「まぁ、今日は時間も遅い。また時間を取って弾ける場所を探して、ゆっくり弾くとするさ」

飄々とギターをケースに仕舞い、煉はそう約束した。

「エリノア、抜け駆けは許さないから」

「ブリュンヒルドこそ」

互いに苦笑を湛えつつ、こちらも約束。

どちらにせよ、煉の奏でる音楽に惹かれたのは事実であり―

(私のために弾いてくれたら……嬉しい……かな)

その内片方が、別の意味でも惹かれつつあるのも事実であった。

彼女自身、思いは今はあまり意識していないのだろうが、何れの内『恋』という感情に発展していくのは、やはりエリノア本人が知る由もない―



To be continued...
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