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Welt wunder

MMORPG「マスターオブエピック」の2次創作&オリジナル小説置き場兼MoE日記。誰が得するかって俺得。

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2008

05/31

Sat.

不定期連続小説「MoE / AtW」 

第5話「名前は剣でも、心は棍棒(後編)」

レクスールヒルズに金切り声が木霊する。

「やっかましい!」

片耳を押さえつつ、煉はグリフォンめがけて蹴りを放った。

綺麗な右背足による上段回し蹴りはグリフォンの首根っこを捉え、その意識を消し飛ばした。

「凄いのね……。私の倍以上のスピードだわ」

背中合わせにブリュンヒルドが呟いた。

「一応こういう荒事には慣れてるんだ」

もう一時間は戦闘を続けているのに、煉は息一つ切れていない様子だった。

ブリュンヒルドからすると、彼の動きは洗練されていて、無駄な動きの中にも次への布石が含まれているように

見えた。

「少し、休憩するか?」

対するブリュンヒルドは少々息が上がっていた。額からは汗が伝い、ハイキャスターローブの色を濃くしていた。

「まだ、いけるわ……」

少し重たくなったヘビーメイスを掲げて、頷く。

「……無茶して何かあっても知らんぞ?」

「女だからって甘やかされたくないの」

「生憎性別で物事を判断するほど定規が伸び縮みしないんだ。少なくとも、他人の限界を見極めるくらいなら出来るつもりだが」

よく見ると、メイスを掲げた右腕はかすかに震えていた。

「……少し休憩しようかしら」

「正直で宜しいってな。んじゃ此処を突破するぞ」

「了解―!」



「ふぅ……」

突破を完了し、二人は先ほどアマゾネスから逃げ切った場所にいた。

瑞々しい緑の葉を付けた大木が作る影が、熱くなった体を程よく冷やしてくれる。

「腕は川で冷やしてくるといい」

「グリードルに齧られそうだから遠慮しておくわ」

「……ピラニアじゃないんだな」

意外そうな表情で煉は呟いた。

確かに肉食のグリードルは煉が言うようにピラニアに近いかもしれないが、ダイアロスには存在しない。

あくまでグリードルなのだった。

「何それ?」

「気にするな。まぁ、ちょっと待ってろ」

煉はのそのそと川のほうへ。

「ほれ」

戻ってきた彼は手に濡れたタオルを持っていた。

「ありがとう……」

ブリュンヒルドはそれを受け取ると、ローブの袖を捲り上げ、直に腕を冷やした。

「気持ち良い……」

彼女は思わず眼を細めた。

滴る水がローブを濡らすが、それすらも今は心地よかった。

「良くそんな細い腕でそんなのを持てたものだ。荷物も多いってのに」

重そうな鈍器と少女の白くて細い腕を交互に見ながら煉は呆れ気味につぶやいた。傍らには斃したグリフォンの亡骸から毟り取った羽があふれんばかりに詰まっていた。

「ヴィガーの影響もあるはずでしょうけど、これでも結構力には自信あるのよ」

「ヴィガーってぇと……筋力増加の魔法?」

「えぇ、どちらかといえばそういう類だと思うわ。『強化』魔法だもの」

「そうか……。もしよければ、何だが」

煉は数秒の間、俯いたまま考え事をしていたがふと思い出したように顔を上げ―

「?」

「もう少し詳しく教えてもらえないか?」

「私でいいなら、構わないけど……」



それから約半時間。

「なるほど、魔法体系は大きく分けて、回復、神秘、強化、神秘、死。か」

メモにそれぞれの特徴を書き終えて、煉は数回頷いた。

言われてみればそれぞれ納得のいく種類と効果で、とても興味をそそられる。

「それぞれの魔法の特徴を掛け合わせた魔法も存在するわ。私は使えないけど」

「見たとこ、あんたでも努力すりゃ使えるんじゃないか?」

重量のあるメイスを軽々振り回していたのだから、と煉は根拠を述べようとしたが。

「掛け合わせの魔法には神秘や死の魔法が含まれることが多いんだけど、私はそれを専k……覚えてないの。これからも覚えようとは思わないし」

ブリュンヒルドの言葉にさえぎられた。

「ふむ」

「さぁ、あと少し頑張りましょう」

「あいよ」

こうして二人は再び先ほどの狩場に戻ったのだが……。



目 標 と す る 敵 が い な い。



「乱獲しすぎたか?」

「どこかに逃げ出した可能性もありそうだけど」

気配を殺して、10分ほど待ってみたが、一向に現れる気配が無い。

「……」

煉は、足元に転がっていた石ころを一つ手に取った。

「驚かせれば出てくるか?」

悪戯小僧のような笑み。

「いっせいに来ても私は知らないから」

ブリュンヒルドは諌めもせず、無愛想。

「おるぁっ!」

煉が投げた小石は、ほぼ垂直に空へと飛び。

風に乗って、崖の上へ。

「……ダメだこりゃ。ちょっと場所を移そう」

「他にグリフォンがいる場所といったらイルヴァーナになるけど、今から出るには時間が遅いと思うわ。あの辺りを拠点とする野盗の一団もいるみたいだし」

「そりゃまた面倒そうな……」

煉の声が再び遮られた。

若干怒りがこめられたグリフォンの鳴き声によって。

「余計面倒なことになったな」

とか言いつつ、煉の表情はどこか嬉しげだ。

「……責任取ってよね」

「勿論取らせてもらうさ」

一連の会話が、街中で繰り広げられたら祝福と妬みの声が飛んできそうなことは言うまでも無い。

「クエエエエエエエエェェェェェェッ!!」

今まで斃していたグリフォンより逞しい体つきのグリフォンが煉目掛けて急降下。

「クエックエッって、お前の体はチョコで出来てるのか?」

直線的な攻撃をひらりとサイドステップで回避。

「それだけスピードが乗ってる上にでかい図体だ。小回りが利かないことくらい分かるさ」

そのアドバイスを理解できるはずもなく、グリフォンは急降下と急上昇を繰り返して煉を幾度も襲撃するのだが、襲われる煉は横への一足飛びだけで回避していく。

「デカイだけか!」

通じるわけでもないのに、煉は上空へ罵倒を投げかける。

「……待って、様子がおか―」

突然二人の体を強烈な風が襲った。

「ぐっ……」

「かはっ……!?」

それがグリフォンの攻撃だと気づく頃には、煉は壁際寸前でどうにか岩肌への激突を回避。

「ブリュンヒルド!」

完全に油断していた少女は、細枝の様に軽々と吹き飛ばされ、岩に叩き付けられていた。

「……」

体に力が入っている様には見えない。メイスを持っていた両腕をだらりと投げ出し、岩に背もたれるような形で意識を失っていた。

「デジャヴか?」

煉は一人呟いただけ。

だが、ブリュンヒルドが意識を失ったのは逆に幸いとも言えた。

何故なら―

「ようやっと、オレも必死になれる」

全身に何かが行渡る感覚。

「クエエエエエエエエエエエエエエッ!!」

一つ覚えのように突進をしてくるグリフォン。

しかし、その襲撃は地面に対して直角な急降下だった。

仕留めに来たつもりなのだろう。

恐らくこの連携で今まで幾つもの獲物を返り討ちにしたのだろう。

だが、例外もある。

その例外が今から実証されようとしていた。

「!?」

「残念」

煉は前方へ転がりつつジャンプして、とどめの一撃を回避。

即座に体勢を立て直し、反撃に移る。

「とーりさんこちら。手のなるほうへーっと」

パチンパチン手を叩きながら、彼はグリフォンが見たことも無いような挙動で崖の上へ飛び上がった。

あっという間に位置的立場が逆転、煉が見下ろす側になる。

「……」

見下ろされる屈辱、というのは案外動物にも伝わるらしい。

凡そ、強かったり位の高いものは山の頂上だったり群れの先頭に居る事で、それを威厳だのプライドだのとして表現している。

このグリフォンが今まで崖の上で転寝していたように、彼(?)もまたこのいったいのグリフォンの群れのボスであり、当然の如く見下ろされるという行為は彼の逆鱗に傷をつけ怒らせることとなった。

ある程度の勢いをつけ、一気に加速。鋭い嘴を矢に見立て、目標へ迫り往く。

「ほいさ」

まぁ、速さが幾分か上がっているだけで避けるに事も無し。

「あーよほどプライドが高いのか、ただ弱者を見下ろすのが空きなのか」

煉は赤い陽に照らされながら翼をはためかせるグリフォンに向かって呟いた。

「暗くなる前に帰りたいんだ。つれも手当てしないといけない。お前も鳥目になるならさっさと決着付けたいだろう?」

「クエエエエエエエエエエエエッ!」

一際強く、グリフォンは翼で空を叩いた。

風は衝撃となり、標的を薙ぎ払わんと吹き抜ける。

「……」

砂塵と共に、煉の姿は消えていた。

崖から落とされたか、それとも自分から落下したのか。どの道あの高さから落下すれば無事では済むまい。

そう悟ったグリフォンは止めのためにゆっくりと降下し始めた。

そこに―

「とーりさんこちらっと」



グリフォンの知る、我らを襲うものは空を飛べない。という覚えを消し去った存在が一人。

空中に堂々と仁王立ちしていた。

「見上げる方になるのも……悪くないぜ?」

何も見えない空中から更にもう一回跳ね上がり、煉は丁度グリフォンの頭上へ移動しようとし―

「ダウンバースト」

直後、グリウォンが放った突風より強力な、烈風とも呼べる吹き降ろしの圧力がグリフォンの体躯を捉え。

「……まぁ、新しいボスがオレにやられなきゃ滅ぶこともないさ。恨みは無かったが成仏してくれ」

グリフォンはゆっくりと降下してくる異常な存在を見つめながら、その命を全うし―果てた。



決着が付き、煉はひとまずブリュンヒルドを担ぎ安全な場所まで避難させ、自分が持てる限りの荷物を持とうと谷の主がいた場所へ戻っていた。

「あー疲れた……」

大きく伸びをすると、グリフォンから肉を剥ぎ取りに掛かる。

予想以上に多くの肉が取れたのはいいのだが……。

「しまった、多すぎる」

荷物整理するために、どこからかバッグを取り出し要るもの要らないものを分けていく。

「うげ、食べるの忘れてた」

袋に入ったクッキーを見つめ、煉は若干項垂れた。

生憎飲み物はもう無い。

「……?」

ふと感じた気配に準じて、煉は辺りを見回した。

が、どこかに何かいるようには見えない。

見えないだけ。

「まぁ、誰か食べてくれるだろう。……ごめんなさいシエルレラン」

最悪微生物の栄養にはなるはず。ブリュンヒルドが必要としているグリフォンから得られるものを少しでも多く持ち帰りたかった。クッキーを置いたところで誤魔化しに過ぎないかもしれないが。

「訳わかんねぇ」

煉は一人苦笑を浮かべ、バッグをどこかへ仕舞い込み、グリフォンの肉が詰まった袋を片手にその場を後にした。

その場には小さく切りそろえられた余りの肉と、紙袋に入ったクッキーが残るのみとなった―



「……うぅ」

「あ、起きた起きた。レンー」

ブリュンヒルドが眼を覚ましてまず感じ取ったのは潮の匂い。

ここは……ビスク港?

「あなた、大丈夫?」

そして自分を見つめるどこかで見覚えのあるコグニートの娘の顔。何だか心配そうだった。

「あ、えぇ」

「やれやれ、やっと起きたか」

「びっくりしたわよ、まるで何時かの事態が悪化したときみたい」

「貴女は、エリノアさん……?」

体に力が入らない。

頭と背中を打ちつけた後遺症でも残っていたら嫌だなぁ、とブリュンヒルドは思った。

「結構強く打ったらしいな。しばらくは安静にしてたほうが良い」

「そう、みたい……」

ブリュンヒルドは疲れきった笑みを浮かべると、

「ごめんなさい、もう少し寝かせてもらえるかしら」

「あぁ」

しばらく眼を閉じていると、何だか素朴なような、懐かしいようなそれでいて聴いたことの無い楽器の聴いたことの無い音楽が、ブリュンヒルドに伝わった。

優しげなメロディーの案内で、彼女は再び眠りへと誘われた―



そして、夜が明ける頃。

「……」

ブリュンヒルドは再び眼を覚ました。

今度は体が動くことを確認。

ゆっくりと起き上がる。

「よぉ」

いきなり声を掛けられてびっくりしつつ、声がしたほうを振り向くと。

「随分疲れていたんだな」

煉がどこを見つめるでもなく、ベンチに座っていた。

「まぁ……色々とあったから」

「そうか」

それきり、しばしの沈黙が続く。

「あなたが私を運んでくれたの?」

そんな雰囲気を嫌って、ブリュンヒルドはたまらず問いを洩らす。

「あぁ、結構骨だったな」

どういう意味で言ったのかはともかく。

「ごめんなさい、大事なところで……」

「気にするな、武器の扱いに慣れてない上に魔法で無理やり体を動かしてればそりゃ疲れるだろう」

こともなげな煉の台詞に、彼女は一瞬目を見開いた。

「知ってたの?」

後者はともかく、前者は当たっていた。

「余りにも攻撃に隙がありすぎた。こいつでさえ、弱点はあるが隙はそこまで無い」

弱点を弁えた上だから隙が少ないわけだが、果たしてエリノアは気づいているだろうか。

「Zzz」

少なくとも眠りに落ちている彼女の馬鹿面からは想像できなかった。

「そこまで気づいてるなら、お願い。私のことを知っている人に、『私が武器を装備して狩をしていた』とは言わないで」

暗い表情で、ブリュンヒルドは煉に懇願した。

何かを知られたくないという感情が、渦を巻く。

「安心しろ、この島でオレと会話したことがあるのは露店の売り子とあんたがた二人だけだ。そもそも、知られたくないことをホイホイ他人に言うように見えるか?」

「……あなたって賢者?」

ブリュンヒルドは何度目かの核心(に近い事柄)を突かれ、ついに煉へ言ってみた。

「あんたの表情が分かり易すぎるんだ。賢者でもなんでもない」

苦笑しつつ答える煉にl、そういえばそうかも……。とブリュンヒルドも苦笑を洩らした。

苦笑はやがて小さな笑みになり、二人の笑い声と一人の鼾が、早朝のビスク港へ慎ましやかに流れた―



「―それじゃ私はそろそろ行くわ」

陽が完全に昇りだした頃、ブリュンヒルドはグリフォンの羽がいっぱいに詰まったリュックを背負って言った。

「あぁ」

煉はそっけなく返事。

「また狩りに誘ってもいいかしら?そこで寝てる彼女も一緒に」

「厄介なのでなければ、あとは出来ればオレが知らない場所を提示して欲しい。それだけ心得てくれたら、いつでもどこでも」

仕事の一環としてなら、付いていく。という意思表示。まぁ、彼女は煉の仕事のことを知らないのだが。

「ふふ……、貴方達の邪魔をするのは気が引けるけど、また頼りにさせてもらうわ」

「……なんか重大な勘違いをしてないk」

「また逢いましょう、煉」

そう言って、ブリュンヒルドは一瞬だけ微笑を浮かべてから踵を返し、魔法研究所のほうへ走っていった。

「焼き鳥~もう一本~Zzz……」

「……」

煉は眉間を掻きつつ、この小さな誤解を何時どうやって解こうか、考え始めるのだった―



to be continued...
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Posted on 16:27 [edit]

category: MoE小説<現行作品>

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