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Welt wunder

MMORPG「マスターオブエピック」の2次創作&オリジナル小説置き場兼MoE日記。誰が得するかって俺得。

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2008

05/07

Wed.

不定期連続小説 「MoE / AtW」 

第4話「名前は剣でも、心は棍棒~前編~」

「ふあぁ~」

薄い白雲に包まれた慎ましやかな太陽の光が、煉を際限無い惰眠へと誘う。

此処が地面だろうがアスファルトだろうが―さすがに針の筵では眠れないが、それでも例えて正に春眠暁を覚えず。

「だが眠るわけにはいかないのだっ」

と、口調は尊大に、且つ、気迫のない声で太陽に吼える。

負け掛けた犬の遠吠えにしかならないが。

眩しさに負けて目を逸らせば、悠々とした草原と茶色の地面が程よく混ざった景観。

仲の良い家族がリュックを背負ってピクニックするにはもってこいかも知れない。

「一年中こんな陽気なら一生ここで寝て暮らしたいな」

ただ―

「蛇とか野犬がうじゃうじゃして無ければ、最高なんだが……」

自然に生き物が無ければ不自然。

だが、余りにも生物の量が多くければ、またそれは不自然極まりない。

「イナゴよりは無害か?」

犬の糞は肥料になるし、小さな蛇を主食とする生物にはパラダイスと言える。

そういった弱肉強食のサイクルの中で。

「オレは……どこに位置するんだろうな」

最弱を0、最強を9ということにしよう。

「……」

魔法を使わせたとして。

武器を持たせたとして。

「……」

考え込む。

深く深く。

「だめだ、わかんね」

結論。

最強にも最弱にもなりうる。

言いえて妙であればこそ、彼の存在がダイアロスでは特殊だと伺える。

「考え事をしてたら腹が減るな」

昼飯時にも丁度いい。尤も太陽の位置などではなく、煉の腹時計だが。

眺めのよさそうなところでもないか、と辺りをきょろきょろ見渡していると、切り立った崖の向こうがいい景色であることに気づいた。

「……うへ」

地面はしっかりしているが、下への落差を確認して3秒でその光景を忘れることにした。

絶景たるかな、視線平行以上の其。

「綺麗じゃないか」

この辺りと同じような、瑞々しい緑と濃厚な茶色、そして川の澄んだ水色が見事に調和した風景という名の絵画。

動く物体は全てアクセント。

一秒として同じ絵は続かない。

素晴らしき刹那を捉え、それを愉しんでこそ風景という絵は記憶に焼きつき、いつでも思い出せる。

「さて」

今日の昼食は、というと。

いつものミートサンドと、ハーブオムレツ、魚介マリネに、おやつ代わりの甘味を少々。

楽しみは取っておく事は普段からすると、無いのだが今日は気分的にミートサンドは後回し。

スプーンを取り出して、ハーブオムレツから食べることにした。

その濃厚且つ爽やかな風味を、スプーンの一掬いだけ口腔に広げる。

―そんな時、一陣の風が駆け抜けた。

「?」

煉が振り返ったときには横に。

横を向いたときには既に前方に。

切り立った崖から、風は悠々と飛び立った。

まるで、古代の翼竜が空を飛ぶ為に必要な気流を捕まえるが如く、昂然と。

「おいっ!」

まさか、それがエルモニーの少女だったとは、さしもの煉も姿を確認するまでは思わなかった。

殺気などは無く、ただ単純に此処から飛び出しただけ。

だが場所が場所だ。

―止めようとしても既に少女は宙を駆け抜けていたので声を掛けられなかった。

一瞬、少女がこちらを振り向いた。

「……」

僅かな合間に交えた瞳と瞳。

片や呆然。

片や快然。

いや、してやったりという様にも見えたか。

「……あれ?」

……………………。

無い。

あったはずのものが無い。

記憶を遡らせる。

少女は、手に何かを持っていた。

「アッー!!」

してやられた。

油断していたこちらが悪い?

いや、置き引きはどこの世界でも犯罪である。

とりあえず仕方なしに一品足りない昼食を平らげ。煉は少女が駆け抜けていった方へ足を進めることにした。



追いかけるにあたって。

空は飛べないことも無いが、飛ぶ気にはならない。

仕事の内容を兼ねて遠回りしながら先ほどの景色を探してみることにした。

んでもって今―

「でけぇ橋だな」

昼食を摂った場所からは見えなかった。

橋の中心部から景観を眺めれば、やはり絶景かな絶景かな。

「……」

少しだけ悪い気分が解れた気がした。

「……ん?」

橋を渡りきってすぐ。

何だか露出度の激しいグラマラスな女性が歩いていた。

もしかしたらあの少女のことを知っているかもしれない、話しかけてみることにした。

「あーすまん、そこのあんた」

背後から声を掛けたためか、女性はビクッと体を震わせてから煉のほうへ向き直った。

「……」

「一つ訊きたいんだがいいか?」

女性はリアクションを見せずこちらに歩み寄ってくる。

互いの距離が2、3メートルになったところで―

「っ!?」

鈍色の一閃。

女性は何と物騒にも刃物を持っているではないか。

「何しやがる!」

煉は女性を睨みつけ怒鳴り声を上げた。

「我等が領地を踏み荒らすものは何人たりとも……殺す!」

物騒なのは武器だけじゃなかったらしい。

「おいおい……」

煉は嘆息一つ。

「死ねっ!」

刃物―シミターに寄る横薙ぎの斬撃。

煉はそれをバックステップで回避。

「死ねっ!」

着地点を狙い済ましたかのようなロウキック。

「ちっ」

避け様が無く、食らってしまった。

が、女性だからか、全くと言っていいほど痛くなかった。

「!?」

女性がたじろぐ。

もしかして渾身の一撃だったのだとしたら、それは申し訳ない。

「ロウキックってのはもっと鋭く打つもんだ。相手の動きを止めるための攻撃だからな」

挑発を兼ねた敵への塩送り。

「貴様っ、アマゾネス流闘争術を愚弄するか!」

「ちゃんとした名前があるなら、あんたの鍛錬不足か、それともそのアマゾネス何たらっての自体が未熟なだけさ」

「ゆ……許さんっ!何としても殺す!!」

隙あり。

「悪いが、殺されるほど未熟じゃない」

木偶の坊を狙ったような単調な突きをいとも簡単に回避し、体を屈めつつ回し蹴り。

所謂水面蹴りは女性の足元を掬い、転倒させた。

「ぐぁっ……!?」

受身を取れずに後頭部を地面にぶつけ、女性は少しの間昏倒した。

だが、意地なのか何なのかはわからないが、女性はすぐさま立ち上がる。

当然煉の姿は視界に無い。

トンっ、という軽い衝撃が首の後ろ辺りに響くと、

「アマゾネス一族に栄光あれ……!」

という呟きが自然に漏れた。

そのアマゾネスが目を覚ましたときには既に煉の姿は無かった―



「やれやれ……」

とりあえずその場を離れ。

軽く温まった体を冷やそうと風の通り道を探す。

「アマゾネス、か」

記憶の中から情報を引っ張り出す。

「……やっぱり未熟じゃねぇか」

理由はウィキペディアでも見ると解る。

説明が面倒なのではない。決して。

「……まったく、エリノアも引っ張って来ればよかった」

彼女くらいならあの程度のあいて訳無いだろうが、生憎今日は別行動だった。

「んで、うらみはらさでおくべきか、と」

ぞろぞろ。

服装は同じでも違う女性が5人。

遠くからでも察知できるほどの殺気を持って近づいてくる。

「この世界に正当防衛なんて、あるわけ無いか」

さて、どうする。



?戦う→だるい

?説得する→さっきのを思い出せ

?逃げる→これだな

「じゃあな」

すたこらさっさー。

といっても素直に逃がしてくれるはずも無い。

「仕方ない」

ある意味戦うよりだるいかもしれないが、振り切るために走る。

「ちょっ……」

「え?」

前方およそ10メートル、道なりにゆっくりと歩く少女が一人。

数秒後には背中が大きく、等身大に見えた。

「走れ!」

「えっ?えぇっ!?」

「後ろからアマゾネスが接近中なんでな。巻き込まれたいなら、構わないが」

「えー……」

少女はしばし考え込み。

「あなたくらいなら大丈夫だと思いますけど」

と、冷静な返答。

「確かにアレくらいなら束になって掛かってきても……って、戦うのが面倒なんだ」

「そう、なの」

「そういうことだから……」

煉は不意に少女の腕を掴んだ。単に女性に迷惑を掛けるわけにはいかないという、妙なフェミニズムからの行動である。

「走れええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!」

絶叫と共に、先ほどより素早く疾走。

途中見つかったアマゾネスにドップラー効果を及ぼしつつ、走る走る。

え?

物理法則?

なにそれ、おいしいの?



「ぜぇ……ぜぇ……」

煉、息切れにより停止。

「まるで触媒を必要としないアルター……といったところでしょうか」

とりあえずアマゾネスを撒く事は上手くいった。

川の岸辺辺りに腰を下ろす。

「随分筋力がおありなようで……」

若干吊り上った瞳をきょとんとさせて、少女は言った。

よく見れば服装は藍色のハイキャスターローブとチェインメイルのパーツで構成されていた。それだけで子供一人分はあるだろうか。よくわからないが―

「必死になれば筋力なんて勝手に増える」

火事場の馬鹿力とはよく言ったもの。煉の場合発揮するためのベクトルが明らかにずれ過ぎているのは内緒だ。

どこからか飲料の入った容器を取り出して水分を補給。体に染み渡っていくというのが地で感じられた。

さすがハイポトニックげふんげふん。

「あぁ、生き返る」

「お疲れ様です」

少女は労いの言葉を掛けた。表情は冷たいながらも見ていて心地よい微笑だ。

「……そういや、あんたどこかで見たことがあるような、ないような」

煉jは首をかしげて記憶をまさぐる。

「あ、あの時はありがとうございました」

何を思ったのか、少女は腰を確りと折って礼を告げた。

「あ、あんたあの時の……」

少し前の文章を思い出していただこう。

彼女が何者なのか。

「イクシオンに襲われそうになってたニューターか!」

「あの時は普段着で外出してて武装してなかったんです。今なら余裕なんですけどね」

と、少女は再び微笑。

「あの時はお名前も聞かないで逃げちゃったみたいで……すみませんでした」

「いや、アレくらいのほうが寧ろオレとしては丁度いい」

「変わった方ですね」

「まったくだ」

そうして、ひとしきり笑いあう。

「私はブリュンヒルドといいます」

「オレは煉」

互いに自己紹介を交わす。

煉は彼女の名前を聞いて『随分神話じみた名前だ』と。

ブリュンヒルドは『シンプルな名前ね』と。

それぞれが思ったが、それを口に出すことは無かった。

「もし宜しければ……、少し付き合ってもらえますか?」

「いや、オレはやることがあるんだ」

「ではギブ&テイクで。私のほうを手伝っていただく代わりに私も貴方の用事を手伝いますから」

「……別にオレでなくても良い様な気はするが」

正直、今は動く気力が掛けている。

「こうしてもう一度であったのも何かの縁です。……嫌、ですか?」

強気な眼差しが一変丁寧になると、途端に愛らしいそれへと変わる。

「……」

煉は少し考えてから。

「まぁ、オレのほうは時間が掛かりそうだから、エリノアとあんたに手伝ってもらうとして。

今回はそっちの用事に手を貸そう」

「ありがとうございます」

ニコリとした笑みは、まるで名前の意味そのもののようで神秘的な雰囲気を持っていた。

「んじゃ、あれだ。いくつか言わせてくれ」

煉は立ち上がると、今まで走ってきた方向を見つめつつ言った。

「はい」

ブリュンヒルドもそれに併せて立ち上がる。

「敬語は要らん。訊いてるとむず痒い。素がそういう口調なら慣れるまでの我慢だが」

「え?なら、努力……するわ」

ちょっと詰まったのが彼女の誠実さを物語る。

「もう一つ。俺がかかわった状態で何があっても後悔するな」

「それも大丈夫」

こくん、と力強い頷きを返す。

「OK、それじゃ何をするんだ?」

「……」

ブリュンヒルドは、煉と同じ方向に直り腕を伸ばしある生物を指差した。

「アレを狩りたいの」

「……おいおい。明らかにアマゾネスより強そうじゃないか」

ブリュンヒルドが指差したのは、大きな翼と逞しい4本の足に鋭い爪を備えたグリフォンだった。

「大丈夫よ、きっと。貴方もいるもの」

(あぁ、なんつー詐欺だ。やられた……)

となりではブリュンヒルドがなにやら魔法を唱え準備をしている。

やるしかないらしい。

女性の頼みを断るのは彼の主義に(一応)反していた。

「さぁ、行きましょう。煉」

彼女が湛えた笑みは、また別の意味で名前にしっくりときていた―



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