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Welt wunder

MMORPG「マスターオブエピック」の2次創作&オリジナル小説置き場兼MoE日記。誰が得するかって俺得。

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2008

02/07

Thu.

(適当式)本気小説「或いはそんな満ち足りた日々」 

ラスト チャプター「戦う意味とは」


ようやっと、である。

兵団のオークより、ずっと……ずっと大きく偉大な体つき。

手には身の丈ほどもありそうな石斧。

しかし、オークという種族の特徴はそのままだから困惑せざるを得ない。

「お久しぶりです。長さん」

ブリュンヒルドが、礼儀正しく挨拶。

「……元気そうだな」

荒々しく息を吐き、長は声を発した。一般人ならその声を聞いただけで、震え上がってしまいそうな威圧感。

事実、ちょっと肩が震えているパンデモスがいるのは内緒。

「えぇ、おかげさまで」

「そこのパンデモスは初めて見る顔だな」

やはり威圧感たっぷりの双眸が、負けず劣らず体格はいい男を見据える。

「は、初めまして」

これから本気で戦おうという相手に、はじめましてという挨拶はいかがなものか。そもそも、娘3人が暢気そうなのがいけないのだが。

「まったく、お前達が来るとは運が良いやら悪いやら」

「最近調子良いみたいじゃない。まるで私達にリベンジしたいって言ってるようなものだったから、来て見たのよ」

「ちょうどいい。むしろ呼びに行く手間が省けたわ」

売り言葉に買い言葉。

緊張感が募る。

「ルールはいつもどおり。心得ているだろうな?」

「もちろん」

エリノアが、自信満々に頷く。

「それでは、ハンデをくれてやろう。貴様達が出せる本気を見せてみろ」

ゾワゾワッ。

緑が波打つほどの、殺気。

「ほ、ほんとにやるんですかっ!?」

すっかり弱気になってしまった赤井が、説得を試みるが。

「あったりまえよ。これだけが本番、そうでしょ?」

「丁度良い空気ね」

「楽しくなってきたんだから、もう、止まらないよ」

否。

止められない。

静かな熱狂のと共に、燃え盛るものがある。

「ほら、赤井君も準備して」

「あ、はい……」


静か過ぎる、数分間が過ぎ―

「それじゃ、始めましょうか」

ブリュンヒルドが構えているのは、鉄球のついたハンマーではなく。独特の形をした、鉄の棒だった。

「あぁ」

「それじゃ、いっくよぉぉぉ」

闘いのオーラを満ち溢れさせたアニェルが突貫。

風の力を借りた彼女は、矢の如く突っ込んでいく。

「フンっ」

直線的な軌道の攻撃はあっさり見切られ、アニェルは横を通り過ぎる。

「甘いっ!」

そこに振り下ろされるは、岩をも易々と粉砕する力の塊。

食らえば一溜りもない。

「―あんたほど甘くはないわ」

火花を散らし、其れをエリノアが受け止める。

「そゆことっ!」

体勢を整えたアニェルが、バトルフォークを突き出す。

それを巨漢ではありえないほどの華麗なステップを用いて、紙一重に避ける。酒に酔った者が、蹈鞴を踏むことに近いが、それは体重のせい。

「成長したな、エルモニーの」

口を歪めた長の表情は笑み。

とても楽しそうで。

とても雄雄しい。

オークを束ねる長だけが許された余裕である。

「アニェルだって言ってるでしょー!」

ちょっと、ムカッと来た。

手数、増量。

まるで、刺突剣のように空気を切り裂く突き。

大抵の戦士ならとっくに穴だらけの攻撃を長はゆらゆら避けていく。

「―背中がお留守よ」

不意打ちの一手は、エリノアの斬撃。

懇親の力をこめて飛び上がり、切りかかる。

「死角多すぎ、もうちょっと痩せたら?」

そして、真横からブリュンヒルドの撲撃。

威力は長のそれに負けずとも劣らず。

瞬きも許さぬような、短い時間の中で。

今か今かと回復魔法を唱えようとしていた赤井だけが真実を見た。


長年の経験と、戦士ならではの直感。或いは、ブリュンヒルドたちの声に反応したのか。

絶妙のタイミングでそれら全ての攻撃を最小限の被害で済ませ―


「ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


咆哮と共に、吹き飛ぶ3人の姿を。


唱えていた魔法を放ってしまうほどの光景だった。

「いたた……、こんな強かったっけ?」

釈然としない面持ちでエリノアが。

「服が泥だらけじゃない。洗うのも結構手間なのに」

不満たらたらに、ブリュンヒルドが。

「あーん、フォークが折れたー」

柄だけになってしまった、元武器を手に、アニェルが。

「失礼な連中だな。まるで俺が貴様らより弱いみたいな言い方じゃないか」

―文字通り、予想外。此処まで苦戦していることに驚いているからこそ出た3人の台詞。

「さて。そこの貴様は、そこで突っ立っているだけか?」

「……」


これまで、それなりに安全な道を歩んできた赤井。

ノアピースを手に入れるため、というより。

賢者としての自分の実力を確かめたくて、自分よりも遥かに経験の深い3人についていくことにした。

その3人がこうして苦戦している中で、自分に何が出来る?

―答えは頭に浮かばない。


「まったく、ワンダークロースだけじゃなくて、洗濯代もふんだくってやろうかしら」

ブリュンヒルドの目が鋭い輝きを放っている。

泥を軽く手で落とし、いつもの愛用武器を肩に担いで、颯爽と歩き出す。

「まったく、しつこいな。前回もそうだった」

「どっちかというと、しつこかったのはそっちでしょ?」

鋼鉄製のバトルハンマーを振りかぶり、駆け出す。

うん、やっぱりしっくりくる。

頼れる武器に、思わず微笑。

先ほどより、激しい火花を撒き散らしながら豪腕二人の力比べが始まった。


「……」

呆然と立ち尽くす赤井の服を小さな手が引っ張った。

「赤井君」

「え?あ、はい……」

「怖い?」

アニェルのその問いは、限りなく純真。

「えぇ、怖いですね。僕に出来ることなんてあるのか解らないくらい―」

「出来ることはね、自分で見つけるべきなんだよ?」

「へ?」

物騒な金属音が鳴り響く中。

まるで子供が親を諭すかのような図である。

「あたしたちは完璧じゃない、それはあたしも判ってるんだ。だから赤井君を連れて行こうとしたんだと思う」

「僕にだけ出来ること……」

赤井は、ポケットに手を入れた。

淡い輝きを放つ、ノアピースがひとつ。ツァーからの収穫だ。

丁度ほしかったものなので、追いかけられながらも必死に掴んだものでもある。

「布石は揃ってるよ」

アニェルは、首肯を一つ。

向かい側にはエリノアがいて、彼女も首肯した。

「タイミングは一度きり。―あたしは、赤井君を信じるから」

アニェルの笑みは、ブリュンヒルドやエリノアの浮かべる大人びたそれではない。

が、とびっきりの笑顔は―

「やってみます。いや、やってみせる!」

赤井の何かを燃え上がらせる熾き火としては、十分すぎた。

「OK!」

アニェルが全力で飛び出した。

奔放なる蜂は、風を切って走る。

赤井は、呪文の詠唱を開始。

二人が何をやろうとしているかはともかく、赤井は一瞬を定める。

必死に「其の時」を手繰り寄せるために―


「どうした!?力が緩んできたぞ!」

並みの兵士よりは鍛えているはずだが、それでもブリュンヒルドの体力消耗は著しい。

バトルハンマーなどという超重量の武器を振り回せるだけでもすごいが、それを使って打ち合いが続けられただけで男は真っ青である。

「ぬはぁっ!」


ガキィッ!!


「きゃっ!?」

ついに、愛用の武器が弾かれ、無防備になる。

「よく頑張ったほうだが、俺には負けられない理由がある」

「くっ……」

「それはこっちもおなじだからこうやって戦ってるんでしょ?」

長の背後から、エリノアの声。

「武器も持たずに何を言う、所詮武器がなければ貴様はひよっこ同然だ」

後ろに目があるのか、と疑いたくなるが、確かに彼女は手に刀剣を握っていなかった。

「ところがそうでもないから、世の中って面白いんじゃないかしら」

「全力しっそ~!」

「ちっ」

一瞬の油断だった。

長はまずブリュンヒルドを仕留めようと、石斧を振り下ろした。

「残念」

紙一重で、回避。

後退するブリュンヒルドと入れ替わるように、アニェルが突っ込んでくる。

両の手に戦槍(ハルバード)を抱え、無防備に走る姿は逆に長の動揺を誘った。

長の攻撃が届こうかとするところ、その手前ぎりぎりで膝を屈めて―

思い切り、飛び上がった。

此処から派生する技は、唯一つ。

「隙だらけだぞ」

石斧を構えなおして、地対空の構え。

エリノアの蹴り等大したことはないと踏んでいた。

が、それこそが最大の判断ミス。

「エリーちゃん!いっくよぉぉぉぉぉぉぉ!!」

アニェルが、長を飛び越した―

着地地点には、エリノア。

技の発動にドンピシャである。

「月まで……飛んでけぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

蹴り上げの瞬間から、アニェルが再び飛び上がる瞬間まで、すべてが即興。

「なっ―!?」

「名づけて―」

全力を出した結果、無様に尻餅をついたエリノア。

「コメット……フォーーーーーール!!」

一方、アニェルは姿勢を整え、急降下。

重力という武器を加えたアニェルが、流星のように宙を滑る。

「……そう、それがぴったり」

エリノアは、満足そうに……そう呟いた。

「それが本命か!」

エリノアからの攻撃は無いと判断し、空中への迎撃に気を回す。

無論、ブリュンヒルドのことも忘れない。

「―まだです!」

声は、赤井から。

手にした杖に、黄緑色の光が認められた。

「サンダーボルトッ!」


魔力によって生み出された稲妻が長を穿った。

「ぐぉっ」

ほんの一瞬だが、足が止まる。

「本当の本命は……どちらでしょう?」

掃滅の乙女は、バトルハンマーではなく、鉄の棒―十手を手に不敵な笑みを浮かべた。

「武器の重さだけが威力じゃないのっ!!」


っずどぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!!


最早、神速の撲撃音なのか、アニェルの落下の衝撃によるものか判らないが、轟音は戦いの終わりを告げる銅鑼には十分だった―


「あー……疲れた……」

ブリュンヒルドがゆっくりと地面に腰を下ろした。

「久しぶりに全力出したわよ」

拾ってきた刀を地面にサクッと刺してから、エリノアもゆっくりと座り込む。重そうな鋼鉄の鎧が金音を発した。

「楽しかったぁ~」

陽気なのは、アニェルだけ。ニコニコ笑顔で、ふわっと以下略。

「良い経験が出来ました」

満足そうな赤井は、汗を拭いつつ礼を述べた。

「赤井君、あなたサンダーボルト使えたの?」

「いえ、ツァーが落としたんです。それを急いで使って、高速詠唱して―」

それは賭けに違いなかった。

あの状況で呪文が発動しなければ、間違いなく誰かがダウンしていただろう。

「あたしたちを守ってくれようとしたから、発動したんだと思うよ。ありがとね♪」

「……」

にぱっとした笑顔に、赤井たじたじ。

「しっかし、どうしてあんなに強く感じたのかしら?」

ふと浮かぶ疑問。

「そういえば……」

即興の合体攻撃まで使わざるを得なかったほどだ。尤もである。

「親父!」

独特のイントネーションで発音された言葉に、

「「「「……は?」」」」

全員が困惑した。

「親父ぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

気を失って倒れている長の下へ、青色半分、白半分ほどの「なりかけた」オークが駆け寄っていく。

「なんだ、見られちまったか……」

目を覚ました長が、残念そうに呟いた。

「いや、親父はかっこよかったぜ」

4人とも初めて見た、オークの涙。

「ありがとよ。次は負けないからな」

「なるほどねぇ……」

ブリュンヒルドが、苦笑半分で納得した。

「ねぇ、そこのアナタ」

そして、その「なりかけた」オークに声を掛ける。

「なっ、なんだよっ!?」

なりかけオークは、即座に戦闘態勢。

なるほど、確かに父親である長に似通ったものがある。

「大丈夫、攻撃したりしないわ。これ以上の争い、今は無駄なだけ」

エリノアが警戒心を解くため、武器を持たずに近寄る。

「……アナタが跡継ぎになるのね?」

「おう、お前らなんか、俺がぶっとばしてやるんだからなっ」

「「「……」」」

数秒の沈黙。

「クスクス……」

ブリュンヒルドが慎ましやかに。

「あらあら……」

エリノアが、ちょっと呆れ気味に。

「あはは♪」

アニェルが、楽しみにしてるよ、と言わんばかりに。

それぞれが笑みを零した。


「えーと、いいんですか?ワンダークロースを頂いてしまって……」

ダーイン山を抜けて、ビスク中央にある魔法研究所へ戻ってくるころには既に夜が更けていた。

僅かな明かりの本、今回の分配が行われる。

「今回のMVPはアナタよ。皆も異論はないみたいだから」

「あると結構便利なのよ、それ」

「エモネットさんがまた欲しがってるかも~」

「それじゃ、お言葉に甘えて」

恐縮気味に、赤井は深くお辞儀をした。

「また何かあったら、連絡を頂戴。協力するわ」

「アニェルが優先的に行く事になるだろうけど、頑張ってね」

「何であたしなの?」

「「それは……ねぇ?」」

「赤井君、どうして?」

「いや、アニェルさんなら移動するのが苦にならないから、どこでも来てくれるんじゃないかって……」

((上手く誤魔化したわね……))

二人して、同じことを思い、同じ動作。

「そっかぁ~。まっかせて!どこでも走っていくよ!」

尤も、合流した後に一緒に走らされるというおまけつきなのは、内緒である。

「―それじゃ、僕はこれで」

別れの時。

名残惜しそうでは在るが、ちょっとやりたい事が出来たらしい。

「また会いましょう」

「次会うときは、もう少し頼りがいのある男になっていてね」

「ばいばーい!」

「……」

ある決意を胸に、赤井はまず武閃に入会する事を心に決めた―


「私達はどうしましょ」

分配は済んでいるので、一応解散と言う流れだ。

「小腹が空いたから、Rexさんのところに顔出してみるわ」

後ろでに手を振り、エリノアが歩き出す。

「私はちょっと疲れたから、宿営場に行こうかしら」

「あたしもそうするー」

「「「それじゃ、気が向いたらまた集まりましょうか(集まろうねっ)」」」


満月が見下ろす中、ちょっとだけ長い一日はその幕を下ろすのだった―


3人が3人、目的があったり、なかったり。

気ままに暮らせる場所がある。気ままに笑える場所がある。

何かを分かち合える、仲間が居る。

これは、種別も性格も容姿もまったく違う3人の生きる世界―


或いはそんな満ち足りた日々 Fin

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Posted on 14:07 [edit]

category: MoE小説<その他>

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