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Welt wunder

MMORPG「マスターオブエピック」の2次創作&オリジナル小説置き場兼MoE日記。誰が得するかって俺得。

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2009

07/04

Sat.

さよがたり 外伝2 

外伝の2 「虎穴に担ぎ込まれた馬鹿と、銀色の狼のようです」

第1章「馬鹿は馬鹿らしく全力で怪我をしたようです」
馬鹿【ばか】

1 知能が劣り愚かなこと。また、その人や、そのさま。人をののしっていうときにも用いる。あほう。

2 社会的な常識にひどく欠けていること。また、その人。

3 つまらないこと。無益なこと。また、そのさま。

4 度が過ぎること。程度が並はずれていること。また、そのさま。

5 用をなさないこと。機能が失われること。また、そのさま。

「急患です! 先生手術の準備を!」
とある病院に緊迫した空気と、慌しさを迎え撃つ静けさが舞い降りる。
つい先ほど、交通事故がありその被害に遭った少年が搬送されてくるとのことらしい。
「容態は右大腿骨複雑骨折……、両肩……脱臼? あとは鼻骨骨折と、各箇所に擦過傷ですね」
患者の容態をメモしていた看護師が、一瞬ポカンとした。
「何で両肩脱臼してんだよ。つーかどういう事故り方だっつーの」
そんな中、我関せず飄々とペン回しなどしつつ呟く女性看護師が1人。
双眸、唇は不機嫌そうに吊り上がっており、帽子の隙間から覗く艶やかな銀髪は1本1本が鋭い針の様。その他顔のパーツも鋭く整っている。
身長は高く、ナース服のスカートからスラリと伸びている黒タイツに包まれた足は、健康的な男子が見れば鼻の下が伸びるに間違いない。
肉付きは少なそうだが、締まるところは締まり、出るところはかなり発達していて、性別を大いに主張していた。
鋭角的な美人。と表現に値するだろう。
「さぁ……?」
同僚の新人ナースが事務仕事をしながら返答。
「轢き逃げらしいわ、物騒ねぇ」
指示を出し終わった平均としてはまだ若き婦長が、ため息をつきながらそんな事を言った。
「病院が儲かるならそれでいいんじゃねーっすか?」
「患者の命を第1に」
「オレは何時もどおり仕事が出来ればそれで構わねぇんですよ。所詮は臨時採用の身ですしね」
とある事情で副業としている看護師業に身を置く彼女、名を須山千晴と言う。
生活の為、と以前勉強していた事が役に立ってはいるのだが、彼女はこの仕事があまり好きではなかった。
「人間でも、人間でなくても死ぬ時ゃ死にますし」
「それを防ぐのが私達医者の役目ですよ」
ナースステーションの前を通り過ぎていく際耳に入ったのか、1人の男性医師がそんな事を言った。
「あーあーさいですか」
ヒラヒラと手を振り『さっさと行け』のサイン。
かの男性医師はイケメンとしてこの病院内では人気があるのだが、千晴はさほど……いや、まったく興味を抱いていないようであった。
「堀越先生、相変わらず須山さんの事を狙っているらしいですね」
羨望の眼差しを千晴に向けつつ、同僚のナースが恨めしげにそんな事を言うのだが。
「興味ねーよ。オレ、ああいう優男みたいなのは苦手なんだ。微笑みかけられると全身が震え上がるぜ」
勘弁してくれ、と千晴は首を横に振る。
想像したら本当に震えが来た。
長く身を置いてきた環境が環境の為、ああいう男はどうにも信じられなかったというか、なんというか。
「折角の美人が台無しですよ。言葉遣いも直せば引く手数多だと思いますけど」
そう言う同僚自身、美人の部類に入る容姿を持っているのだが、千晴が派手過ぎて霞んでしまっている気がある。
薄幸とか、日陰に居てこそ輝く美女というのが表現に値するかもしれない。
「お前が言えたこっちゃないだろ……」
当人は自分を過小評価しているが、千晴他同僚達からはそれなりに羨望の眼差しを向けられている。しかし彼女は気付いていない。これは良いご都合主義。
「谷田川さんは院内アンケートで寿退職しそうな看護師第1位だからね」
私もあと15年若ければ――と婦長は拳を握り締め、ランキング順位を呪った。因みに彼女は数十人いるナースの中で、かなり下位に置かれている。
もう一つ因みに、最下位は千晴。
理由は言うまでもない気がする。
「寿退職なんてしませんよ。私、この仕事好きですから」
「はぁ~、ハードなこの仕事を好きと言えるなんて素晴らしいねぇ」
看護師と言う仕事は細かな作業の他、包容力や忍耐力がないと厳しいところがある。※
仕事に貴賤はないものの、やはり苦労の度合いは職種によって違って当然。適正と言うものがあるわけで。
し千晴は、他人にへこへこすることや、単純作業を繰り返すのが苦手だった。
性格ゆえか、2日に1度は口喧嘩を起こし、その内5回に1回は殴り合いに発展してしまう。
自分に素直、極端なまでに直情的で攻撃的。
それが須山千晴という女性を大きく象徴していた。
看護師と言う仕事をある意味失礼な方向で誤解していた彼女は、皮肉にも他人と深く接する=揉め易い職を手につけてしまっているのだった。
「……」
手術が始まったようで、ナースステーションに静けさが戻った。
パソコンへ入力する為のタイピング音だけが慎ましく響く。
「集中できねー」
そう言うと、千晴は立ち上がった。
「煙草吸ってくるわ」
時間外労働で、ほかに同僚が居る為断る理由はないのだが、一応言っておく。
「はいはい」
元はと言えば自身の仕事が滞っている為に招いた残業なのだが、千晴はあくまでマイペース。
もしこれで頑固頭の婦長を相手にしていたら、即日首が飛んでいただろう。
帽子を外し、硬い銀髪をわしわしと掻きつつ、千晴は喫煙室へと向かっていった。

この時間ともなれば、さすがに喫煙室には人は居ない。
照明を燈し、換気用の空気清浄機が稼働させて、細くて長めのメンソール煙草に100円のライターで着火。
口の中に広がる煙と澄み渡るような香料の味を深く吸い込み、ゆっくりと吐き出して。
「ふぅ」
最近は同僚と揉める事が少なくなった。しかし、それではなんだかスッキリしない。
「何かこう……すかっと痛快な出来事でもないもんかね」
この環境は、平和すぎて自分の肌に合わない。働き始めてからずっと思っていたが、そろそろ限界かもしれない。
「文嘉の奴、よく教師なんかやってられるよな」
副業として教諭を務める知り合いの事を思い出して、苦笑した。
彼女も自分と似たマイペースな人間である。
ふと思い出して、携帯電話の電源を入れてメールの確認をしてみた。
「お、文嘉からメールきてやがる」
噂をすれば。
内容を開いてみると――
「……はぁ?」
何度か読み返し、意味を理解すると。
「ぶっ、あっははははははははは! マジかよっ!?」
腹を抱えて笑い出した。
燃え尽きた灰が床に落っこちたが、そんな事を気にするでもなくひたすら笑い続ける。
5分ほど笑ったところで、フィルターギリギリまで燃え尽きた煙草を据え付けてある灰皿に突っ込み、今度は落ち着いて吸おうと、新しいのを取り出して再び着火。
「へぇ、あいつにも気になる奴が出来るんだな……」
どんな奴だろうかと想像してみたが、どうしても途中でクリーチャーになってしまうので諦めた。
「案外普通の奴だったりして」
そう呟いて、彼女の普通も、自分の普通も充分基準がおかしいことに気付いて、また笑う。
「今度の休みにドロシーんトコいって話を聞いてみるかね。こりゃ良い話の種だぜ」
信じられないと言った表情を浮かべている彼女を想像したら、笑みが止む事はなかった。

ピピピピピピピピピピピピピピピピ――ガシャンパリン。
快眠の邪魔をしようとした目覚まし時計を、無意識下の内にむんずと掴み、壁へと投げつけた。
バネやら針やら電池やらを撒き散らすことで、哀れにも目覚まし時計は数少ない己の役目を終えた。
「んが……」
結局終電を逃してしまい、仮眠室に止まることにした千晴だが。
「…………」
電池が切れ掛かっている携帯電話で時刻を確認して、
「やっべぇ!」
硬いベッドから跳ね起きた。
慌ててスリッパを突っかけ、更衣室に寝巻きとしていたスウェットを突っ込み化粧もままならないままナースステーションへ。
最低限、身だしなみを整えるべきかもしれないが、そんな余裕すらなかった。
「遅れてすいやせ……ん?」
何時もなら鋭く突き刺さるはずの視線は、何故だか今日は哀れみに満ちたそれとなっていた。
「おはようございます、須山さん」
「おはよう……ございます」
お咎めを喰らうわけでもなく、徹夜で作業していたであろう婦長は挨拶をしただけ。
ビクビクしながらも、挨拶を返す。
「えーと、須山さん」
列に並んだところで、再び婦長が口を開いた。
「新しく入院した患者さんを担当してもらいます。305号室の波根洲さんです」
「え? オレッすか?」
「あなたが適任でしょうから」
なるほど、皆が千晴に送る哀れみの正体はこれだった。
つまるところ、厄介な患者の担当を任された事になる。
「はぁ……」
どんな患者かは分からない、まぁ言って聞かないようならある種の肉体言語で持って強制的に聞かせれば言いと鷹をくくり、
「分かりましたー」
安請け合い。
「それでは、今日の朝礼は以上です。今日も患者さんのために笑顔で頑張りましょう」
「先輩、安請け合いしちゃって大丈夫なんですか?」
谷田川が心配そうに訊ねてきた。
「新しい入院患者ってーと、昨日事故にあった奴だろ? 何か問題あんの?」
患者の資料に目を通そうとして、何となく分かった。
「えーと、それがですね……」
「?」
「今度入院してきた彼、街で有名な不良の取り巻きなんですよ」
「……へぇ?」
患者名 波根洲 轟 17歳
身長189cm 体重90kg
顔写真を見ると、随分厳つい顔をしている。
「確かに手が掛りそうだな」
本人だけでなく、周りに迷惑を掛けてしまいそうだという意味で。
「まぁ、注意して駄目ならアバラのもう2、3本でも折れば大人しくなんじゃね?」
「悪化させてどうするんですか……」
「まぁ、ちょっと様子見に行って来るぜ」
資料を旗代わりにヒラヒラと振って、千晴はナースステーションを後にした。

305号室。
重症の患者が入る個室である。
「入るぜー」
何のためらいもなく千晴はドアを開いて中へ。
聞いていただけでもかなりの大怪我だ、何も出来ないのだから気にする事もないだろう。
「ん?」
おや、患者は起きている様だ。
「あー今日からお前の担当になった、須山千晴だ。よろしくな」
包帯でぐるぐる巻きにされた患者――波根洲轟は視線だけを千晴に向けて、
「マジパネェ美人だ。超タイプ……結婚してくれ!」
直後305号室から病院全体に響き渡る絶叫が木霊した。
「げ、拳骨マジパネェ……っす。がくっ」
「こりゃ楽しくなりそうだな、ヲイ……」
気絶している轟を見て、千晴は退屈が紛らわせそうだと、唇の端を吊り上げた。
こうして、事故で入院した中途半端な不良患者と、やる気のない看護師は出逢いを果たしたのだった――

第1章 了
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Posted on 01:55 [edit]

category: 小説<オリジナル>

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2012

04/14

Sat.

18:24

名無し #- | URL | edit

10万円

レスありがとう。詳細はこれです+.(・∀・).+♪ http://m-s.e29.mobi/

 

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