Welt wunder
MMORPG「マスターオブエピック」の2次創作&オリジナル小説置き場兼MoE日記。誰が得するかって俺得。
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2008
10/03
Fri.
「不定期連続小説MoE/AtW]
この小説は―
ギルドのクエストに飽きた其処のアナタ!
過酷なクエストを制覇して、名工の品を手に入れてみないか!?
―とりあえず、アメジストとガーネット10個からね―
:Eyes:超難易度クエスト考案委員会
の提供でお送りできたらいいかもね
第14話「銅塊?鉄塊!?大殺界!」
「文明の叡智ッつーのは便利なもんだ」
かなり湿気の強い空間に煉の声が響いた。
地下水路への入り口である。
「水に濡れるのが嫌ですので」
「まぁ、確かに乾きにくそうな環境だな」
「ともあれ、参りましょう」
「まって、ちょっと実験代わりに」
崩れた壁から意気揚々と歩き出した面々をブリュンヒルドが引き止めた。
「何ですの?」
「さっき露店で見つけたから覚えてみたけど、使えるかどうか試してみるわ」
そういうと触媒を入れてあるポーチからノアキューブを取り出して詠唱開始。
「随分長いな……」
一度ブリュンヒルドとは共闘した事のある煉だが、どうやら詠唱時間に見合う強力な魔法らしい。
「ホーリーガード」
青い光が、5人を包み込んだ。
「あ、成功した」
先ほど習得した魔法が、直ぐに成功するとはよもや本人でさえ予想していなかったであろう。
「やるようになりましたわね、何時の間に努力していたかわかりませんが」
「いつの間にか努力していたことになるのかしらね。ともあれ、スピリットガードより効果は薄いけど効果は数倍持つからある程度時間がたったら言って頂戴」
「助かる」
「目がちかちかする~」
「さぁ、今度こそいきますわよ」
「ほら、大丈夫か?あまり擦らないほうがいいぞ」
煉は苦笑しつつアニェルに手を差し伸べた。
「うん~」
その手を掴み、一緒に歩き出す。
その様は兄弟と言うより、ぎこちない親子っぽかった。
「羨ましいですわ……」
「……」
泥や砂のゴーレムは無視して、ある程度進んだとき――
「イザベラ、この面子ならそっちからいけるんじゃない?」
「それもそうですわね」
面子を見回して、頷きで返す。
「え?」
「近道があるの」
ブリュンヒルドが指差した先にあるのは、一見床が崩れただけの場所。
「見てみれば解るわ」
「……通路になってるのか」
「見張りの黒いゴーレムは複数人で掛かれば余裕ですわ」
「OK」
開口一番、煉がアニェルを抱えて飛び降りる。
スタっ、と。
ひざを使い見事に衝撃を殺した、お手本のような着地。
「きゃあああああああっ!」
次の瞬間、どすん、と。
重力に負けて文字通りの落下。
お約束な着地はエリノア。
「あたたた……」
「おいおい、確りしろ」
先ほどより呆れの強い苦笑で、アニェルを降ろしてから手を差し出す。
「……ありがと」
頬が若干赤いのは恥ずかしいからと言うことにしておこう。
「居ますわね」
遠目の先に、漆黒のゴーレム。
「この場所自体が暗いから、見落とす人も多いのよ」
「んで、奇襲食らって泡吹いて、か」
「気づかれないうちにバフを済ませましょう」
「了解」
強化魔法を扱う二人が戦闘準備を進める合間に、
「よし」
煉が颯爽と歩き出す。
「待たなくていいの?」
「実質あの二人が頼りだからな、楽させる意味でもやっておくさ」
そしてまた一つ歩を進めたとき、ゴーレムが反応した。
狭い通路ぎりぎりの体が迫力満点に突っ込んでくる。
「「え?」」
「まぁ、見とけ」
目標を煉に定めたゴーレムはその太い腕を思い切り振り下ろした。
「よ、っと」
バックステップで回避。
続けざまに飛んでくる攻撃をやはりひらりひらりと。
「あんたと戦ってたときもそうだけど、すさまじい反応速度よね」
詠唱の合間、ブリュンヒルドが呟く。
「もう二度と敵に回したくありませんわ」
そんな合間にも、攻撃を回避し続ける煉。
一瞬エリノアに目配せ。
「!」
それに反応し、頷く。
「ほいさ」
何度目かも解らぬ攻撃が地面に突き刺さる。
引き抜いたときに、煉との距離は少々離れていたためゴーレムは方向転換。
再び攻撃を繰り出す。
「予想通り」
構えた盾の先からエリノアの微笑。
「だな」
そこに煉が一瞬で距離を詰めジャンプし、脚を振り回した。
「!」
鈍い音と共に、壁にぶつかる音。
半身に皹が入った。
「にゃー!」
此処で予想外の動きを見せたのがアニェル、体の小ささを活かしゴーレムの懐へ。
下から思いっきり槍を突き出し、脇の下から刃を貫通させた。
意外に力があって、ちょっとびっくり。
「締めと行こうか」
煉がそう呟いて、ジャンプしつつ脚を振り上げる。
縦の空間を使った見事な前蹴りは、ゴーレムの顎を根元から引っこ抜き頭と胴体を分離させた。
天井にぶつかった頭部が砕けて、散らばる。
着地を決める頃には、既にゴーレムの活動は停止していた。
「さすがですわね……」
唖然とした表情のイザベラ。
「金属のブーツも履いてないのに、痛くないの?」
蹴り技を扱う同じ道の者として、エリノアは訊ねてみた。
「気の持ちようだ」
それは根拠になってない。
が、煉ならばそれで通りそうな気がして、エリノアはこれ以上触れないことにした。
「あと2体いますので、さくさくッといきましょう」
銀製のレイピアを携えて、イザベラが走り出す。
「とりあえず本水路の端までは、倒しつついくのが正解かしら」
比較的スマートな鈍器を肩に担いでブリュンヒルドが続く。
「頑張る~!」
それにアニェルがテクテクと。
「負けてらんないわ……」
「やれやれ」
最後に二人が走り出した。
とまぁ、シャドウを余裕で倒したのだからロックゴーレムなど余裕。
「はっ!」
イザベラの槍捌きは冴え渡り。
「邪魔っ!」
半ば力任せに振り回した鈍器がゴーレムの巨体を吹き飛ばす。
「あったらないよ~」
アニェルが動き回り隙を作って、
「せぇのっ!」
エリノアの蹴りがトドめを刺す。
「オレ、出番ないよな」
そして後ろのほうでボーっと突っ立っているか弱くない野郎が一人。
「エリノアも随分強くなったもんだ」
最初の頃は口だけなのかと思っていたが、成長速度が半端ない。
付き添い始めた当初は煉が始末していたイクシオンコメットでさえも往なせる様になってきた為、自信が付いたのかもしれない。
活き活きとしたその表情は、見ていて悪い気分じゃなかった。
「……」
通路の角から飛び出してきたゴーレムへ冷静に回し蹴り一発。転倒したのを確認、呟きと共に腕を振り下ろす。
「ルーセントフェザー」
軌跡に現れた2枚の透明に輝く蒼い羽は、彼が思ったように飛翔し、最終的にゴーレムを五体不満足にさせた。
「ふぅ」
「煉、こっちよー!」
エリノアが手を振って呼びかけた。
「あいよー」
目ぼしいドロップ品を拾って、とぼとぼ歩いていくのだった。
「此処は安全みたいだな」
ゆっくりと腰を下ろし、先ほどのゴーレムが落としたアイテムをより分ける作業に入る。
「これは、ルビーか……」
「アメジスト、サファイアが一つずつですわ」
それぞれ原石ではあるが、きちんと加工すればそれなりに価値が出そうな大きさだ。
「これも綺麗な石だよ~」
アニェルが床に置いたのは、僅かな光を反射して7色に輝く―
「ダイヤかよ」
なんとなく、ダイアロスの鉱物学を学びたくなる煉だった。
「そういえば、宝石って何に使うの?」
懐からアメジストとガーネットをそれぞれ1つずつ取り出して眺めつつ、エリノアが訊ねた。
「主な用途はアクセサリーね、私は出来ないけどミスリルの強化にも使われるわ」
「その通りですわ。特にミスリルの強度そのものを強化するために必要な、アメジストやガーネット、ダイヤモンドは価値が高くなりますことよ」
「興味深いな」
宝石を使って、金属の強度を上げるなど初耳だった。
「ミスリルのアクセサリがあれば、ワタクシが強化いたしますわ」
「でも、あれって高いのよね……」
露店で、丁寧に飾られた強化済みミスリル製ロングソードの値段を始めてみたときは、桁がおかしいんじゃないかと店主に訊きたくなった覚えがある。
「でも先日凡そ10万ゴールドもするローブを2着も……」
今正に彼女が身に着けているそれがそうだった。
「アレはオレのポケットマネーから。一介の冒険者だと一ヶ月掛かるんだろ?2着買ったとして、オレはまだダイアロスに来て2ヶ月経ってない」
「「「……え?」」」
墓穴。
「まぁ、気にするほどのことじゃない」
「色々矛盾があると思ったらそういうことだったのね」
それでもまだ矛盾が残るわけだが。
「詮索するつもりはないから構わないけど」
それはそれ、これはこれ。
頼りになる面子が味方でよかったと思うブリュンヒルドだった。
「……流れ人、なのですわね」
「一応そういうことにしておいてくれ」
「もしも身分を隠しているのだとしたら――」
「?」
恋人は敵国のスパイ。
それを知っても尚、愛を貫き通そうとする二人に降りかかる過酷な運命とは!!
「最高のラブストーリーに!」
「「「ならないならない」」」
(作者含め)どこまでも暢気な連中である。
「……静かに」
かと思えば突然イザベラの眼差しが真剣に。
「上のほうで何かが崩れる音が」
「―!」
正確にはわからなかったが、確かに破砕音や声が混じって聞こえてくる。
誰の声かもわからぬ状況の中で、一人だけ反応した者が居た。
「おねぇちゃん!」
アニェルだ。
「どうしたの!?」
「おねぇちゃんの声がした!」
槍を掴み、風を呼ぶ。
「助けなくちゃ!」
「追いかけるぞ」
真偽の程はともかく、一人ぼっちにさせるのは危険すぎる。
全員頷いて、追いかけ始める。
走り去る風の姿をロックゴーレムは視認できず、そのまま通り過ぎる。
となると、当然後から追っかけているのが捕まるわけで。
「先に行って!」
2体のロックゴーレムに視界を阻まれつつブリュンヒルドが叫ぶ。
「OK」
「音が聞こえたのはこの上、少し芳しくない状況かもしれませんわ」
階段を駆け上がりつつ、状況分析。
「どういう意味だ?」
「そこらのゴーレムより強力なそれと戦っている可能性があります。雑魚の数も多いので、あのちびっこの言っている事が事実だとしたら……非常に不利ですわ」
「」
階段を上りきると、行く手を阻むように銅色のゴーレムが佇んでいた。
「ここは私が」
エリノアが剣を構え、戦闘態勢へ。
「お任せいたしますわ」
「やられるなよ」
「煉こそ」
「其処の通路へ!」
そしてまた階段。
「まだ居るのか……」
「この程度、ワタクシ一人で十分です。後は其処の階段を駆け上がるだけですわ」
「……悪いが、頼んだ」
そして三度階段を上ろうとした時、
「じゃまぁぁぁぁぁぁっ!」
アニェルの叫び声と、相対するアイアンゴーレムの姿が確認できた。
「待てッ!」
2体それぞれの拳を回避して、扉をすり抜けようとするが巨体が通せんぼ。
「退いてよ~、向こうにおねぇちゃんがいるんだからっ!」
既にアニェルは半分泣きそうで。
煉はあらゆる感情を指し抜いても、そんな表情を見たくなかった。
「そう言う訳で、ご退場願おうか」
煉は左右の手にそれぞれゴーレムの頭を持つと、圧縮するかのように手のひらを合わせた。
「なりふり構っていられる状態じゃないんだ」
視界が利かなくなり、うろうろし始めたゴーレム2体にそう悪態をつくと、乱暴に扉を蹴り開ける。
広い部屋の中に銅色のゴーレムが4体、その内1体は既に動いていないが、残りは絶賛稼動中。
さらには魔法を扱うゴーレムまで居るようだ。
「此処からが本番か……」
「おねぇちゃん!」
アニェルは追いかけられている同じ種族の少女の下へ。
となれば煉は。
「とりあえず援護代わりに近づいてこない怪しいのをやるとするか」
各所で、戦闘が始まる――
此処でCM。
『NPCの憂鬱』
「苦労の度合い」
シェリル(裁縫道具屋)「今日も暇だよう……Zzz」
旅人A「すみませーん」
シェリル「ふぇっ?」
旅人A「(大丈夫かなこの人)コットンの布束を50個下さい」
シェリル「はぁい」
旅人A「900ゴールドっと……あ、そうだ。裁縫ばさみもお願いします」
シェリル「ふぇっ!?」
旅人A「あ、それとレシピバインダーとなめし液を100個」
シェリル「ふえええええええ……」
あたふたあたふた。
てぃうんてぃうん。
シェリル「ありがとうございますぅ。らる・ふぁく・いる・ふぁっし~な」
シェリル「ってことがあったんだ~」
ジャニ(食べ物屋)「慌てちゃうよね……」
たまたま会話を小耳に挟んだラウラ(魔法触媒屋)「ミスト様。私、触媒屋をやっていて心から良かったと思います」
マリオン「あ、こっちこっち~」
ラウラ「お待たせしました。ノアダスト、ノアパウダーが1000。ノアキューブ、ピュアノアキューブが3500。アイボールが4000になります(レイジングしているとは言え、少々きついです……)」
マリオン「はい、御代」
ラウラ「う、動けない……」
レイジングレイジング。
NPCが出張販売をしない理由があるとしたら、恐らく重量過多で帰れなくなるからだろう。
きっと、たぶん、そうおもう。
テレポ?ホーリーレコードを取ってあるなら、まぁわかるけど。
ラウラ「ところで、何でこんなにアイボールを?」
マリオン「小腹が空いたら生目玉焼きに出来るじゃない」
ラウラ「……」
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Posted on 15:55 [edit]
category: MoE小説<現行作品>
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