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Welt wunder

MMORPG「マスターオブエピック」の2次創作&オリジナル小説置き場兼MoE日記。誰が得するかって俺得。

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2008

08/26

Tue.

不定期連続小説「MoE / AtW」 外伝 

えくすとらすてーじ

「Ellinorのダイアロス美食探訪」

私はエリノア。ごく一般的な、ダイアロスに住まう冒険者。

特徴?周りのコグニートより美人なのと、スレンダーな事じゃない?

……その目はどういう意味かしら。

まぁ、いいわ。

「おいコラ」

何よ、まだ自己紹介の最中だってば。

「何をボーっとしてるんだ?」

そうか、彼には聞こえないのね。

彼は煉。最近出会った自称冒険者。容姿はともかく、どうにも怪しい感じが満点のヒューマンね。

ともあれ、戦いに関しては強いんだけどダイアロスについててんで詳しくないから、しばらく面倒を見てあげようかなと思ってる訳。

いや、そりゃ私も流れ人だからダイアロス全体について知ってるわけじゃないけど。

ミーリム海岸周辺なら問題ないし、いざとなれば二人で冒険すればいいじゃないなんて目論見があるのはナイショよ?

流れ人ってのは、島の外から流れてきた冒険者全体の事を指すわ。中には冒険者にならないで料理人だったり芸人として暮らす人もいるみたい。

「どうでもいいが、準備しないと置いてくぞ?」

あーもう煩いわね。

「今日は別行動でいいわ」

ひらひらと手を振って、意思表示。

「珍しいな、お前から別行動を申し出るなんて。普段なら置いていくつもりでも―」

あーはいはい。雑音はほっときましょ。

私より少し強いくらいで何なのよ……。

「まぁ、そう言う事なら今日は別行動で。オレはレクスールヒルズに行って来る」

「いってらっしゃいー」

適当に挨拶をして、彼を見送りようやっと私は一人になった。

……あれ?

「そういえば、今日の予定全く考えてなかったわね」

ここ最近は煉に付いて行くのが当たり前……、じゃなかった。彼の案内役をしてたから予定なんて関係なかったのを忘れてた。

「まぁ、たまにはこういうのも悪くないわね」

それじゃ、まずは買出しに出かけようかしら。

一つ伸びをして、荷物を纏めて出発よ。



「んー」

触媒や食料の買出しも済んだ。

武器の整備もOK。

問題は、ドコへ行くか。

中央ビクトリアス広場の大きな噴水の淵に座って、考えてみる。

いつものミーリム海岸は一対一なら充分だけど対複数は分が悪い。

ネオクは何か棍棒を持ったちっちゃいモンスターにボコボコにされた(ノンフィクション)のが頭に残ってるしなぁ。

地下墓地は―うん、論外ね。

あーもう。

これじゃ何だか煉が居ないとダメみたいじゃない。

「あのーすみません」

「え?」

いきなり声を掛けられた。

邪魔だったかしら?

「ひょっとして地下水路にいかれますか?」

声をかけてきたのは同じコグニート、でも性別は男性のようだ。

目つきは多少鋭いが声音と物腰は穏やかで、礼節を重んじてそうな感じ。

「……あの?」

あ、いっけない。

難しい言葉を出すために頭を使ったせいか返事を忘れてたわ。

「地下水路?というか、今日何処に行こうかすらまだ決めてなかったんだけど……」

「ありゃ、ココに座ってる場合、殆ど地下水路に行くようなものだと思ってたのですが」

「あ、地下水路ってあそこのこと?」

よく見ると水面奥に、壊れた柵が有る。どうやらその奥が地下水路らしい。

「ちょっと採りに行きたいものがあって、一緒に来てくれる人を捜してたんです」

「シップ装備でも取りに行くの?」

「いえ―」

彼のその一言で。

「地下水路にしかない収穫物、蒟蒻芋があるんです」

あまり乗り気でなかった心が動いた。

「私でよければ、付いて行くわよ?護衛くらいはできるでしょ」

「本当ですか?助かります!水路の内部は明確な地図がなくてテレポートできないんですよ」

苦笑しながら、青年はそうまくし立てた。

「まぁ、鍛錬にもなるわ」

「頼りにさせて頂きますね。

あ、ついでに自己紹介を。僕はレクスターです。シップはマスター厨房師やってます」

「エリノアよ、シップは……一応セイバーってことにしておいて」

「一応、ですか?」

「ホントは別のシップなだけ。私もそっちの方が好きだし」

「はぁ……」

何だか煮え切らなそうな顔をしているが、不満では無さそうね。

「さ、行きましょう」

「はい」



Ingredients1 地下水路産蒟蒻芋



---------------------------------------此処より視点変更--------------------------------------



さて、地下水路にやってきたコグニート二人。

「水中に潜らないといけないのは辛いわ……」

重い鎧を着けて、水中で行動するのは中々難しい。

軽装な布服を身に着けているレクスターは彼女よりも先に浮上していた。

「大変そうですね……」

「戦士なんてこんなもんだと思うけど、泳ぎ方を勉強すればちょっと違うのかしら」

俗に言う水泳スキルだが、エリノアはそんな事を知らない。

「ところで、その蒟蒻芋のある場所は分かるの?」

「えーと……」

「……」

しばしの沈黙。

「……ごめんなさい」

「まぁ、その辺ぶらぶらしてればそのうち着くでしょ」

サンドゴーレムをつま先で突っつき砂を零しながら、そうあっけらかんと。

「そう、ですね」



そんなこんなで進んでいく。

浅い場所だけあって敵はあまり強くなく、レクスターが回復魔法を心得ている事もあり順調に進んでいく。

扉を潜り抜けるたびに、違う色、違う材質のゴーレムが出現するが、なんて事はなかった。

「お強いですね」

「お世辞?私なんてまだまだよ」

煉が戦う姿を脳裏に浮かべ、エリノアは苦笑した。

なんというか、あの戦い方は『生き残ることを主眼に目標を殲滅する』様に見えた。

エリノアは目の前に写る敵を殴るだけで精一杯だから困る。

「はぁっ!」

ロングソードを袈裟懸けに振りぬき、マッドゴーレム最後の一体を倒したところで気を抜きリラックス。

「もう大丈夫よー」

「はぁ、すみません……」

壁の向こうで隠れていたレクスターがため息一つ。

「貴方には貴方の技があるじゃない。私は難しい料理できないから栄養とかを考えるとどうしてもレランのお世話にならざるを得ないわ」

もし、シェルレランの本部から露店禁止命令が出たら、半年後にはダイアロス島民の半数がレランに殺到し、残りは栄養不足に苦しみそうだ。

フェローシップ専属厨房師なんていうのが現れそうだ。

「そう言ってもらえると作っている甲斐があります」

朗らかな笑みはどこか営業的なそれに見えた。

また扉をくぐると、先には階段があった。

「此処からはストーンゴーレムとかちょっと強力になりますね。気をつけていきましょう」

「了解」

初めて地下水路に来るエリノアには新鮮味のあるものばかりだ。

「噂をすれば、あれがストーンゴーレムね」

灰色の図体が、今までのそれとは違う事を物語っていた。

「下がってて、行ってくるわ」

バーサークの構えに入り、気合を入れる。

「いっくわよー!」

地面を思い切り踏み込み斬りかかる。

刃がいやな音を立てて、石の体に弾かれた。

「くっ」

体勢を立て直そうとしたところへ、思いのほか鋭い拳が飛んでくる。

「!」

本能からか盾を出すが、すり抜けるように鈍痛が走った。

「エリノアさん!」

レクスターが援護の為詠唱に入ろうとするが、

「ゴゴご……!」

「あわわわわ」

それを妨害する為か、ゴーレムは鈍重に方向転換。

「―もらったわ」

前衛に背中を向けるとはいい度胸。

再び気合を込めて、突っ込む。

当然ゴーレムは機動性にかけるため―

「たあああああああっ!!」

一瞬に賭けた俊敏な動きについてこれず。

レクスターを叩き潰そうとしていた右腕を切り落とされた。

「ゴァッ?」

感覚がないのだろうか、腕がない事に疑問を覚えしどろもどろになるゴーレム。

「まだまだ!」

武器を振るった回転により勢いを増し、今度は足を振るう。

鋼鉄に覆われた足が、石のわき腹に罅を生み―

「―トドメよっ!」

追い討ちをかけるかのように、其処へロングソードが突き刺さった。

「……」

そして、数秒後ゴーレムは沈黙した。

「ふぅ、段々手ごたえが出てきたって感じね」

「キックも扱えるんですね」

「まぁ、一応こっちが本職のつもりなんだけど。―ウォーリアを目指してるの」

「なるほど……エリノアさんくらい強ければもう成れますよ」

「それこそお世辞。でも、嬉しいわ」

微笑みながらゴーレムのドロップを確認すると。

「……あら、目玉は宝石なのね」

剣の柄を使って、器用に取り出したそれは綺麗な輝きを放つ、やはり石だった。

「そうみたいですね。これは紫水晶(アメジスト)でしょうか」

「私はあまり詳しくないわ。でも価値があるなら持っておいて損はなさそう。綺麗だし」

煉ならもしかしたら知っているかもしれないので、取って置く事にする。

「この階段を下りたら、本水路です。頑張りましょう」

そのセリフを聞いた数分後。

「……レクスターさん。これはちょっと骨が折れるわよ?」

「ですよねー」

本水路のあまりの広さに、今更ながら護衛を安請け合いした事を後悔するエリノアだった。

「まぁ、帰ったらレクスターさんの料理をご馳走してもらうわ。覚悟してね?」

「お任せ下さい」

やはり、返答をした彼の表情はどこか営業的なそれだった。



「てぇぇぇいっ!」

通りすがりに何体かのストーンゴーレムを倒し、手当たり次第に道を探っていく。

「ゴーレム相手にコツをつかんできたみたいですね、頼もしいです」

「何回かに一度衝撃が盾を抜けるのが気に食わないわね……。体勢を立て直すので精一杯だわ」

「あ、あれは……」

石とは違う、濃い灰色のゴーレムが辺りをキョロキョロと。

「此処から先はロックゴーレムみたいですね」

「ゴーレムだけで一体何種類いるのよ……」

「奥の方には金属製、ミスリルで出来ているようなのもいるらしいですよ。僕は行った事がないですけど」

「少なくとも私じゃ無理ね」

慣れたおかげか大して攻撃の種類が変わらない上位体も難なくいなすことに成功。

「今度はオレンジ色の宝石ね」

「ガーネットですね。どういうわけかアメジストやガーネットは人気があって高く取引されてるみたいです」

「へぇ……」

壁とお話しているストーンゴーレムの背後をそろりそろりと通り抜け―

「随分ここは沢山いるけど」

呟きながら、エリノアはゴソゴソとカバンを漁り、あるものを取り出した。

「スペルブック、ですか?」

「いいから見てて」

ごく短い呪文を唱え、成功の証にスペルブックに光が宿ると。

「グレイブヤードミスト」

ロックゴーレムの周りに怪しげな靄というか霧が渦巻き始めた。

「これをやっておけば、反応され辛いわ。進みましょ」

「はい」

視界に映っていなかったロックゴーレムに油断しつつも、これを撃破。

「うわー……たかーい……」

奇しくも相方が別の場所で似たようなことを思っていたなどとは彼女の想像に湧くわけがない。

「落ちたらあっという間に、死んでしまいそうですね」

「さらっとそう言う事言わないで、想像しちゃうから」

立ち上がるときに膝の震えを必死に隠していたのは内緒。

そして、更に進んで階段を降り。

「反対に来ちゃったのかしら。これであっち側にあったら骨折り損じゃ済まないわよ」

「あ、誰かいるみたいですよ?」

レクスターが指差す方向に地図を広げて唸っている青年の姿が見える。

「あれが道に詳しそうな人に見える?」

「見えません」

「私たちで力になれそうもないし、関わってもしょうがないわ」

何ともあっさりとしたやり取りなのは、両者が『あの人は頼りにならないだろう』と思っていたからである。

「右か、左か……」

青年のいるほうと、その逆方向を何度か交互に睨みつつエリノアは考えるが、当然どちらが正しいか知る由もない。

「参りましたn」

こういう単純な思考ほど深くはまりやすく、周りが見えなくなることもそうはない。

「うーん」

だから―

「危ないっ!」

背後からおび寄せる存在に気づくこともなく。

「え?」

油断が致命傷を招いた。

「―っ!?」

鋭い衝撃と共に、声にならない悲鳴が上がる。

その数瞬後に、立ち上がれないほどの痛みに襲われることでそれが現実だと悟る。。

「何でこんなところに……?」

レクスターの目に動揺が走る。

その視線の先には鈍い黄土色の輝きを放つゴーレムが佇んでいた。

「ぐぅ……」

痛みのせいで立っているのがやっとだ。

「逃げて!」

それでも、守ると決めた人へ声を張り上げる。

「やるっきゃないじゃないの」

迫り来る金属の巨像に虚勢が効くかはともかく今持てるだけの力と根性をひねり出して、エリノアは対峙する。

「―OK、良い心意気。―力を貸すよ」

耳元に入る優しげな声、そして髪が風によって掻き揚げられる。

「俺が気を引く、この前のコンビネーションを試すいい機会だ!」

黄色いローブと赤い鉢巻が特徴の少年が声とは裏腹な勇壮な面持ちで叫ぶ。

「了解っ!」

それに応えたのは銀色に輝く鎧を身に着け、武器にも同じく銀色の光を宿した少女だった。

「……」

それを呆然と眺めていると、突然体の傷が癒え、体力も戻ってきた。

「いけますこと?」

どうやらヒーリングとリバイタルを掛けられたらしい。

まばゆい金の髪を、どうやったのか知らないが左右均等な縦巻きにした、少々この辺を歩いていたら目を疑う格好の少女が言った。

いかにも慇懃無礼と言ったような態度ではあるが、ケガの治療をしたあたり、悪党な訳がなく。

「あ、はい」

「お婆様が言っていましたわ。礼は半分、恨みは倍返し。―貴女のやるべき事は一つでしてよ」

口元に手を当て、戦場に似合わない笑みを浮かべる少女。

「……遠慮なく!」

それを一瞥すると、エリノアは遅れを取り戻すかのような勢いで走り出した。

「イザベラさんの突きに比べれば温いんだよな、これが」

重力に任せた攻撃をひらりと回避し、少年が呟く。

「何だかんだ言って鍛えられてるから困るよね」

後ろに回りこんだ少女も呟きつつ、手に持っていた鈍器をゴーレムの後頭部にぶつけた。

「戻って来た」

「いっくわよー!」

動きの止まっているゴーレムの胸部目掛けてジャンプ。

両足を揃え、そのまま突っ込んだ。

轟音と共に、ゴーレムが倒れるのとエリノアが着地を決めたのは同時だった。

「うっは、豪快だね……」

「絶好調だから!」

それは根拠になってない。

「3対1なら楽勝だ。一気に片付けよう!」

「えぇ!」

「はいっ!」

エリノアが蹴り、

少女が叩き、

少年が切りつけ。

動きの鈍くなったゴーレムに向かって、金色の糸が駆ける。

「弱いもの虐めは趣味ではありませんが、因果応報と言うヤツですわ」

黄金の一閃。

レイピアの鋭い突きは、金属製であるゴーレムの胸部を紙の様に貫いていた。



「―助かりました。ありがとうございます」

ゴーレムの残骸の傍にて。

「礼ならハウリルに言うべきでしてよ」

間髪入れずに巻き毛の少女が答えた。何だかその表情はつまらなさそうでも有る。

「え?助けるべきですわってイザベラさんが言うから―」

ハウリルと呼ばれたニューターの青年は、事実を歪曲されたことに驚きを隠せず

「……」

ジト目で一蹴。

「まぁ、そう言う事にして置いてください」

「あの人、素直じゃないんです」

くすくすと笑いながらもう片方の少女が言うが。

「ワタクシのどこが素直でないと?」

「「そういうところなんじゃないですか?」」

「……二人とも訓練を増やしたい様ですわね」

「え?」

「明日からあなた達だけ基礎訓練を1.5倍にしてもらうよう申告しておきますわ」

「ちょっ、それはないですよ……!」

「あーもう、ワタクシ達はこれで失礼しますわ。今しがたのアイアンゴーレムは恐らくはぐれですから、用事が無いなら近づくのはおよしなさい。すぐ其処の曲がり角からアイアンが現れる地帯と覚えておくとよろしくてよ」

「そうします。あ、そうだ」

「まだ何か?」

「蒟蒻芋が生えてる場所ってどういけばいいんでしょう……?」

「……」

金髪巻き毛の少女は一瞬きょとんとしたが、

「フィリア」

「あ、はい」

フィリアと呼ばれた少女はカバンから一枚の紙を取り出した。

なにやら複雑な模様っぽいものが描かれている。

「これって、地図ですか?」

「そうですよ、説明しますね」

フィリアの分かりやすい説明により、エリノア『でも』理解する事が出来た。

「此処から意外と近かったんだ……」

「そういうことですわ、見た所生粋の戦士である貴女が何をしに行くかは知りませんが、まぁ気をつけることですわね」

「色々とすみません、まだここには慣れてなくて……」

「気に病むほどの事ではなくてよ。

それでは今度こそ失礼しますわ。ワタクシ達も別の用事がありますので」

そう言って、金髪の少女―イザベラは踵を返し優雅に歩き出した。

「それじゃ、またどこかで」

「またね」

ハウリルとフィリアも慌てて挨拶をしてイザベラの後を追っていった。

「あ、そういえばレクスターさんは……?」

終わって気付く、余裕の無さ。

「お、終わりましたか?」

「私一人の力じゃないんですけどね。どうにかなりました」

そう言って、角を曲がる寸前の3人を指差す。

「……そうですか」

レクスターの表情に何処と無く翳りが見えた。

「あぁ、そうだ。蒟蒻が生えてる場所教えてもらいましたよ」

それに気付かず、朗報を伝える。

幸せな頭の中身とはこういうやつのそれを言うのだろう。

「それはよかった、結構時間経っちゃいましたね。急ぎましょう」



とまぁ、そんなこんなで。

「はぁ、長かったー」

たどり着いた蒟蒻畑の群生地。

天井は崩れ、数時間ぶりの日光が二人を祝福した。

「お疲れ様です。そして有難うございます」

「いえいえ、私もまだまだだわ」

エリノアは今日の戦闘内容を反芻しつつ、その中から改善すべき点を割り出そうとして、その数にちょっとうんざりしたのは内緒。

「じゃあしばらく休んでいてください。掘りますから」

「そうさせてもらうわ」



ざっくざっくと、土を掘り返すどこか懐かしい音が響く。

「―そういえば、蒟蒻芋ってことは蒟蒻を作るのよね?」

壁に背を預け、鼠にちょっかいを出しながらエリノアはふと尋ねた。

「はい」

「何を作るの?」

「にくじゃがを作ろうと思いまして」

「初めて聞く名前の料理だけど……」

「まぁ、これは僕のこだわりというか、執念なんですけど」

一旦作業を止めて、レクスターはエリノアへと向き直った。

「実はこの料理まだ完成形じゃないんですよ。公式なレシピは出てるんですけど、まだ何か足りない気がして……」

「創作意欲ってヤツかしら」

「そんな感じです。

で、まだ蒟蒻のストックがあるうちに色々と試作していたんですが……」

「?」

「その試作品の内の一つをつまみ食いされちゃったんですよ」

そのセリフを言った時の彼の表情は、端的に言って目が笑っていなかった。

「食い逃げ?感心しないわねぇ」

「犯人は捕まえたんですよ。そしたらその人なんて言ったと思います?」

「想像もつかないわ……」

下手な答えを言えたものじゃない、というわけで無難な解答。

「『とても美味しそうだったから……』」

「いいことじゃないけど、それだけ魅力的だったってことじゃないの?」

「違うんです!確かにあの試作品は美味しかったのかもしれない。でもまだ僕の作るにくじゃがには可能性があるんですよ!だから『次はもっと美味しいのを作って待ってますね』と……」

今度は両の指をつっつきつつ、恥ずかしげに。

意外と表情がクルクルしていて飽きないから困る。

「んで、そうこうしている間に蒟蒻がなくなった、と」

「はい……。この先材料だけなら一ヶ月は持つはずの蒟蒻芋が5日でなくなっちゃいました」

作りすぎ。

ってか納得のいかない試作品はどうしたのだろう?

「高みを目指すっていいことでしょう?目標が違うとはいえ、一番って目指したくなる物らしいし」

「ごめんなさい、こんなワガママのせいで苦労をさせてしまって」

そこで話を打ち切ろうとして、レクスターは再び鍬を手に取った。

「言った筈よ?鍛錬も兼ねてるって。今回はそれに嬉しいおまけがついてきたわけだし」

「おまけ、ですか?」

「えぇ。帰ったらあなたの自慢の料理食べさせてもらえるし、近日完成予定のレクスターさんオリジナルにくじゃがを『2番目』に食べさせてもえるんだから!」

「……」

一瞬の沈黙の後。

もうすぐ黄昏を告げる朱色の陽光が射す蒟蒻芋畑に、その色に近い暖かな笑いが木霊した―



「はぁ、満足満足」

夕闇の中を帰った来た所。

「随分遅かったな。どこかで迷子にでもなってたか?」

先に帰っていた相方の皮肉に、

「失礼ね、護衛を頼まれたからこなしてきたの。でもって、その人に色々ご馳走してもらっちゃった」

満面の笑顔で答えるエリノア。皮肉も何もあったもんじゃない。

「そりゃ幸せなこった。こっちの苦労も知らないで……」

「―あれ?その子……」

「まぁ、話は飯の後。看病してたせいで出られなかったんだ。ささっと買いに行って来る―」

「いってらっしゃい」

―こうして、対照的に二人の一日は幕を閉じた。



to be continued?
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