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Welt wunder

MMORPG「マスターオブエピック」の2次創作&オリジナル小説置き場兼MoE日記。誰が得するかって俺得。

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2008

08/05

Tue.

不定期連続小説「 MoE / AtW」 

第10話「竜巻旋風少女(1-3)」

ずずず。

「あまり味はよくないが勘弁しておくれ、この辺にはあまり茶葉がなくてねぇ」

普段飲んでいるそれより、若干色合いの薄い紅茶を啜っていると、オルガが呟いた。

「たまに通りすがる行商人もあたしたちを見たら逃げちまう。仕方ないから担当を決めて月に一度纏めて収穫しに行くのさ」

「意外に体制がしっかりしているんですね……」

「衣食住がしっかりしていなきゃ、文化は発展しない。先祖の教えでね」

皿に盛られているのは干した苺だ。それを一つ摘んでオルガは続ける。

「まぁ、衣服は橋の近くに綿花がある。食べ物も自由じゃないが不自由はしない。住める場所もこうやってある」

「生きていくには、充分だな」

「いざとなれば盗賊じみたことをしにゃならんが、それもこれも、あんた達がいけないんだよ?」

ふとオルガの目に剣呑な色が宿る。

「綿花も野草も根こそぎ収穫していくわ、動物も半分壊滅状態に追い込まれる始末」

「……」

思い当たる節があるので、煉とブリュンヒルドは苦笑するだけ。

「正直、こうでもしなきゃ生きられないのさ」

「気持ちは分かる」

「誰か、ビスクのお偉いさんに掛け合ってもらえないもんかねぇ……」

半分冗談のつもりで、そう呟く。

「随分大人しいというか、平和主義者なんだな」

まるで自分を襲ったときとは人が違う、と煉は思ったが当然言葉にはしなかった。

「アマゾネスにも色々居るのさ」

干し苺の蔕をほぼ空になった皿に置いて、オルガは健やかな笑みを浮かべた。

「さて、そろそろ戻ってくると思うんだけど―」

「ただいまー!」

部屋に明るい声が響き。

「……お前はあの時の」

「あ、クッキーのお兄ちゃん」

ようやく、風が姿を現した。



「お客さんがくるって言ったのにドコ行ってたんだい?」

「グリフォンにエサを上げてたのー」

空になった麻袋から、パラパラとエサの屑がこぼれ落ちた。

中には言っていた残骸を見て、エリノアはやはり目を逸らした。

「あーもう、折角の洋服を汚しちゃって」

せかせかと少女に近づき、布巾で服に付いた泥を落としていく。

「ごめんなさい……」

「さぁ、席にお付き。お客さんがいらしてるんだ。しゃんとしな」

「うんっ!」

元気よく返事をすると、少女はアレットの隣に腰掛けた。

「紹介するよ。アレットの妹―」

「アニェルだよ。よろしくね、お兄ちゃん」

「……」

煉は軽く眩暈を覚えた。

「まぁ、そっちが思うとおりこのこもアマゾネスさ。普段はアマゾネスだとばれないようにローブを着せてるけどね」

「配慮してるんだな」

「んで、この子が戻ってきたところで、本題に入ろうか。ほら」

「えーとね。この前は食べ物盗っちゃって御免なさい。お腹が空いてたからつい……」

ヒョコリと頭を下げ、アニェルは以前の非礼を素直に詫びた。

「まぁ、もう過ぎたことだ。気にするな」

あの後たらふく食べたのは内緒である。

「とっても美味しかったよ」

食べたときの事を思い出したのか、アニェルの表情は至福に満ちていた。

「なら、作ったやつも幸せだろう。そうして味わってもらうのが料理人の目標であり、常日頃心がけることだ」

そんな表情を見ていると、煉もまんざら悪い気はしなかった。

「ありがとっ。お兄ちゃん」

「……」

煉はやっぱり眩暈を覚えた。



その後はしばし雑談。

と言っても―

「オルヴァンのサイコロステーキは絶品よ。下ろし醤油と肉汁が絡み合ってそれはもう……」

どういうわけか食べ物談義ばかりなのだが。

「じゅるり……」

アニェルの口から涎が溢れっぱなしである。

「ラーメンも悪くないよな。かん水無しでどうやって作ってるのかわからんが」

「じゅるじゅるり・・・…」

「ギムナジウムの食堂で出るカレーライスは大人気ね。辛さに悶絶する人も居るけど」

「あぅー」

だらだらだらだら―

「ほら、アニー下品だよ」

しょうがないねぇ、とアニェルの口元を拭くオルガ。

種族は違えど、親子は親子と言う事か。

「羨ましいわねぇ」

「どうして?」

「私はほら、流れ人でしょ?此処にたどり着く以前の記憶もないし……」

「オレも似たようなもんだが、既に両親いねぇしな。家族が居るのはいいものだ」

「なんか、ごめんね……?」

「気にするな」

「私も今の方が大事だし、気にしちゃいないわ」

「……」



そしてまたしばしの時が過ぎ。

「さて、そろそろ帰るか」

「そうね、そろそろ晩御飯みたいだし」

例によってエリノアの腹時計が時報を鳴らすが、いまいち当てに仕切れないのが不安である。

「ありゃ、もうそんな時間なのかぃ?あたしも晩御飯作らなきゃね」

「アマゾネス流の料理も気になるなぁ……」

今度はエリノアから涎が。

「置いて帰るぞ」

「私明日は講義で早いから」

料理への探究心―と言っても食べることへの探究心だが―の差からか、エリノアが少数派。

「お土産に持っていくかい?丁度、煉にだけ話したいことがあるんだ。帰る頃には一品くらいは準備できるよ」

「ホント?」

「ってか、まて。……オレに?」

「何、そう長い話じゃない」

「まぁ、それなら構わんが」

「アレット、二人を出口まで案内しておやり」

「はいなの、―ついてくるの」

部屋の出口の前に立ち、アレットは二人を促した。

「うん、それじゃまた後でね」

「私はそのまま寮に戻るわ。おやすみなさい」

「あぁ」

3人が出て行き、何だか妙な空気に満ちていく部屋の中で。

「―で、話なんだけどね」

「あらかたの予想は付く」

「へぇ?」

「アレットが案内役、あまつさえ挑発したってのに敵を持て成し、そして極め就けにアニェルがおしゃれをしていた。とくれば―」

煉は含みを持たせる為に一呼吸置き、

「縁談だろう?」

「分かってるじゃないか」

オルガの顔が卑しく歪んだ。

「まぁ、普段ならそこら辺から男を引っ張ってくれば事足りるんだが、アンタは優秀そうだ」

「戦いに秀でている者がそれに関して秀でているなんて説は初めてだな」

あながち間違っているわけでもないが、少なくとも煉当人は試したことがないため、肯定する気にならなかった。

「猛々しい武人であればこそ、ってわけでね」

このアマ、じゃなかった。アマゾネス、何か勘違いをしている気がする。

「……」

「安心しな。何も此処に監禁しようってんじゃないんだ。週に二日、いや、一日だけ来てくれればいい」

「……」

まだ、疑問が残る。

「あの娘二人には『一人で出かけてくる』と言えば済む話だろう?」

「うーむ」

沈黙を守っていた煉が唸りだした。

周りの環境に対する配慮は考えているだけあって、合理性は有る。

「決めてくれるかい?」

「答えは最初から出てるようなもんだが」

オルガに相対したその目は真剣そのもの。

「聞かせてくれ」

「オレ、ああいう趣味はないんだ。そりゃあ一部は小さいに越したことないg」

口が滑ったって言うのはこう言う事を言うんですね分かります。

「……」

オルガ、目が点。

「大体な、いきなり現れていきなり縁談持ち掛けられても困る」

「―お兄ちゃんは、あたし嫌い?」

エルモニーと人間の身長差は大きい。

当然アニェルが煉を見上げる形になるのだが、差がありすぎて、まるで親子である。

確かに、アニェルの目はくりくりとしていて活発そのもの。

まるでリスのようで、洋服も似合っている。

そうした趣味のある男なら間違いなく食いつくのはずだが、やはり煉には抵抗があった。

「嫌いだとは言ってない」

友愛としての好意は抱きやすいだろうが、それが恋愛に発展するかと言えばまた別なわけで。

「ならいいでしょ?一緒に暮らそうよ!」

アニェル自身、そんな事理解していないだろう。

「逆に、だ」

ならば―

「?」

「アニェルがオレの所に来ればいいじゃないか」

この時点で、煉の頭にとある考えが浮かんだ。

「頭の回転も速いんだねぇ……それも悪くない」

二、三度頷きオルガは納得の表情。

「オレもアニェルもお互いの事を知らな過ぎる。ある程度期間を置いてからでも悪くないんじゃないか?」

「期間と言うと、どのくらい?」

「1ヶ月、いや2週間もあれば充分だろう。結構簡単にハッキリすると思うぜ」

アニェルが諦めるか。

煉がアニェルを「対象内」に納めるか。

「何か始めからこっちには望み薄だねぇ」

それでも、分の悪い賭けに出るしかない。

少なくとも、この時だけは、そうするしかなかった。

「可能性は0じゃない。限りなく0に近いだけさ」

「まったく、アレットはとんでもない男を捕まえちまったみたいだね」

「お兄ちゃん、一緒にいてくれるの?」

「少しの間だがな」

「やったぁ♪一杯遊ぼうね!」

煉はこの時思った。

短い期間では有る。

その中で、不遇な環境下で育ったこのいたいけな少女にどれだけ幸せを教えてやれるだろうか、と。

「明日また迎えに来る」

それでも確かに。

「またねっ!」

この少女の笑顔が。

「あぁ」

見ていてとても心地の良いモノだったから―



尚、この数日後よりしばらくの間、ビスク港の彼のベンチの周りが賑やかになろうことは諸兄らの想像に易いだろう。



夜は更け、場所は変わり。

「私の力が効いているといいが」

「申し訳ありません、貴女の力が残り少ないことを知っていながら……」

「ほどなく尽きる命、なら契約を果たすまでは、力になりたい」

満天の星々と弓状の月が見える砦で、アマゾネスと一人の女性が向き合っていた。

「……アニェルは、幸せになれるだろうか」

その女性が、呟いた。

「あなたの力が、アニェルを幸せにしてくれます」

「忌まわしき呪いでも、良い方向に使えるとは、全く悪魔らしくない」

「誇りを持ってください、貴女―サキュバスのその力があったからこそ。アマゾネスに発展の道が見えるのですから」

サキュバスは地面に横たわると、

「私達は、祈ろう。悪魔の祝福を受けた小さな天使が、些細でも大きな幸せを掴むことを」

空を見上げ自嘲的な笑みを浮かべた。

アマゾネスも同じく、空を見上げるが、弓状の月は少しだけ歪んで見えた―



To be continued...
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